昔と変わった医学常識は?

昔と変わった医学常識は?
以下は、m3という医師などの情報サイトによせられたコメントです。どれも「なるほど」です。


●心不全にβブロッカーが禁忌だった時代があったりと、医学の常識が大きく変わることがあるかと思いますが、それぞれの診療科で、印象に残っている常識が大きく変わった体験や内容等を教えていただきたいです。

●C型肝炎がほぼ完治する疾患になったことが、自分が医学生や研修医時代から考えると驚きでした。また開腹手術のほとんどがこの20年で、ロボットや腹腔鏡手術に置き換わったことも驚きです。

●喘息の治療では1980年代に、短時間作用性のβ2刺激薬の定期使用というのが流行した時期がありました。その結果喘息による死亡が増えたとのことで、現在そのような治療をする人は全くいなくなりました。

●「傷口にイソジン塗るな」は有名ですね。他には何でしょうか・・・。手術後や入院後はとにかく臥床安静が正義でしたが、最近は臥床安静による誤嚥性肺炎や廃用症候群を予防するために、できるだけ早く動かすようにしています。まだ、それは「常識」として根付いては折らず、スタッフの中にもとにかく臥床安静にする雰囲気はあります。

●キズの処置です。私が医師になった頃は、消毒+ガーゼ、ぬらしちゃダメ、でした。術後創の処置には厳密な清潔操作が要求されました。
今は、非滅菌手袋でちゃちゃっとしてますし、水道水なら濡れても良い、ということになっています。あの厳密な操作はいったい何だったのかと思いますね。

●1)ALLHAT試験前後でのサイアザイド系利尿薬の高血圧治療での立ち位置(追試でも不変 JAMA Netw Open. 2023 Dec 6(12):e2344998.)。
2)SGLT2阻害薬が、当初は、糖だけ出すのは理にかなわないと言われていたが、いまや、DMでもCKDでも必須薬になった。
3) 喘息、COPDのβブロッカーは、禁忌は、いまでは、むしろ予後改善と考えられる(発作誘発のみ注意)。
4)EGFR遺伝子変異肺がんへのEGFR-TKI投与の著効性(全肺がんにイレッサ投与で問題になった)。
5)メラノーマや肺がんでのICIの著効性(驚きしかない)。

●やはりピロリ菌の発見が衝撃的でした。今まで何やって来たんだろうと思いました。主人も直ぐに除菌しました。普通に除菌を周りでもしています。学校でも検査しています。

●アトピーや、難治性湿疹に対しての生物学的製剤がたくさん増えてきたことです。治らなかった病気が嘘のように治るのをみると不思議な感覚です。

●創を消毒してはならない、創にソフラチュールをつけてはならない、創にゲンタシン軟膏を塗布してはならない(これに関しては賛否が分かれていますが)。手術前にはブラシで手指をこする必要はない。手術前の剃毛をするのであれば手術直前にする。

●昔は「酒は百薬の長」と言って毎日大酒を飲む人がいました。ところが、近代医学では、大酒飲みは決して体や長寿に良いものではないとわかってきました。男女とも1日平均アルコール消費量の平均23g未満(日本酒1合未満)が、最も死亡リスクが低いのです。飲酒量が増えると高血圧や脳出血の発症がスクも高くなるのです。特に高齢者の大量飲酒は脳血管疾患、転倒して骨折、肝臓疾患、認知症など様々な疾患発症リスクを高め、アルコール依存症を増やし寝たきり生活の原因になるのです。

●一番は癌の患者に癌と当たり前に告知するようになったことでしょう。昔は潰瘍と言って手術をして、抗がん剤を消化薬だからといって飲ませたりしてましたから。(今でもたまに本人には言わないで欲しいという家族がいますが)あとは、C型肝炎が治る病気になったこと、HIV感染が死の病でなくなったこと、骨肉腫で5年生存が当たり前に得られること、B型肝炎ウイルス感染症で弁護士が儲けるようになったこと、などでしょうか。

●手術の時の手洗いでしょうか。昔はごしごし何度もたわしの様なものでこすっていましたが今はむしろ駄目とされています。イソジンも使いませんし、医療ドラマを見ていても時代を感じます。

●創傷治癒です。以前は傷は手術後の傷も普通の傷も消毒して、ガーゼで覆うのが常識でした。今は科にもよりますが、一般的には傷は消毒しません。ガーゼもあてません。その方が傷の治りは遅いと言われています。真逆になっています。あと以前は傷は水に濡らしてはいけない、お風呂も入ってはいけないと言われていましたが、今は逆です。傷は良く洗って綺麗にした方が早く治ります。入浴も可です。傷は乾かすより湿潤環境の方が早く綺麗に治ります。

●妊婦に対する放射線被ばくリスクですかね?その昔は腹部単純1枚撮るのにも気を使っていましたが、今は胎児に対し最も被ばく量が多い筈の腹部CTでも、理論的には影響がないレベル(100mGy以下ならOKで単純なら50mGy程度)と認識されています。ただ我々以外の科の先生には、まだこの知識が十分浸透していない模様で、妊婦の撮影前には必ず大丈夫か訊かれます。通常の撮影ならいつでもお尋ねくださればよいのですが、救急外来で一刻を争うときなんかの為、救急患者受け入れ施設に於いては、救急外来に各種撮影時の胎児への被ばく量一覧をバ―ンと貼っておいて、我々に問い合わせる事をしなくても誰でも”OKなのね”と、認識できるようにした方がよいかもしれません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました