新型タバコの有害性

新型タバコの有害性(最新研究)
以下は、記事の抜粋です。


電子タバコや加熱式タバコといった新型タバコ(わが国では加熱式タバコが主流)は、紙巻きタバコより害が少ないように思われがちですが、新型タバコでも多くの健康被害が生じることがわかってきました。

発がん物質に変化するプロピレングリコール(PG)やグリセロール(Gly)
新型タバコには、PGやGlyなどの有機溶剤が大量に使用されています。電子タバコではニコチンを希釈し、気化させやすくする目的などで、また加熱式タバコでは発火しないよう保湿し、カビないよう処理する目的などで使用されています。PGは抗菌剤、Glyは増粘剤などとして医薬品・化粧品や食品添加物としても広く用いられています。しかし、吸入した際の安全性は確認されていません。PGやGlyは加熱により分解されてホルムアルデヒドに変化することが知られています。ホルムアルデヒドは、国際がん研究機関(IARC)がグループ1に分類している強力な発がん物質です。従来の紙巻きタバコには含まれていなかった新たな添加物によって、新たな健康被害が生じる危険性が危惧されているのです。

隠れた発がん物質ホルムアルデヒドの吸入
タバコ会社は、新型タバコに含まれるホルムアルデヒドの量は、紙巻きタバコの10%程度だと公表していますが、実際にはそうではありません。前述のとおり、加熱されることでPGやGlyはホルムアルデヒドに変化しますが、PGやGLYの存在下では、ホルムアルデヒドはさらに「ホルムアルデヒド・へミアセタール」へと形を変えて大量に存在しています。この化合物は、ホルムアルデヒドとしては測定されませんが、血管内に吸収されると加水分解され、再びホルムアルデヒドに戻るため、実際には大量のホルムアルデヒドを吸入していることになります。

新型タバコも肺気腫/COPDを誘発
新型タバコも肺気腫/COPD(慢性閉塞性肺疾患)を誘発することが分かってきました。以前から、肺胞洗浄液中の好中球エラスターゼやMMP等のタンパク分解酵素が、紙巻きタバコ使用者と同レベルまで増加していることが確認されており、肺組織の破壊/COPD発症が懸念されていました。2022年のPublic Health誌に、7,175人の電子タバコ使用者と25,926人の元電子タバコ使用者のCOPD有病率について調査結果が掲載されましたが、電子タバコを毎日使用する者は、紙巻きタバコも電子タバコも吸わない者と比較して3.17倍COPDを発症しており、元電子タバコ使用者でも1.55倍でした。他の報告では前出のPGやGlyがヒトの小気道上皮細胞の細胞増殖を抑制し、細胞生存率を減少させることが報告されています。この現象は、COPD患者さんから採取した小気道上皮細胞において、より顕著であることも示されており、タバコを吸う方やCOPD患者さんが新型タバコに切り替えて使用することは、肺組織の障害がより進行する可能性があると警告しています。

新型タバコと血管疾患
紙巻タバコは、がんや呼吸器疾患だけでなく、脳・心血管疾患、歯周病などの多くの関連性が示されている病気を引き起こすことがよく知られています。近年、新型タバコにおいても健康障害が明らかになり、動脈硬化や脳との関係についての研究が、2024年報告されました。加熱式タバコを利用している若年者を対象とするスウェーデンの研究では、加熱式タバコのばく露によって、動脈血管の硬さの指標が有意に上昇したほか、心拍数、血圧にも有意な影響がみられました。さらに動脈硬化による心筋梗塞などの血管疾患の直接的な原因となり得る血小板凝集による血栓形成能(血栓のできやすさ)が有意に上昇したと報告されました。

新型タバコと歯周病
喫煙と歯周病のリスクはすでによく知られています。喫煙者の歯周病のリスクは受動喫煙経験のない非喫煙者の約3.3倍。また、家庭で受動喫煙経験のある非喫煙者では約3.1倍、家庭および家庭以外の場所で受動喫煙経験のある非喫煙者では約3.6倍とする報告や喫煙歴のある人は残存歯数が少ない傾向も明らかに示されています。新型タバコの悪影響に関する知見も報告され始めています。2022年に発表されたニューヨーク大学の研究では、重症度が同程度の歯周炎患者101人の唾液中の細菌叢を6カ月間隔で2回検査したところ、電子タバコ使用者の唾液の細菌叢は、紙巻きタバコの喫煙者と同様の変化が起きていることが確認され、細菌叢のバランスや歯周病の進行に関わる炎症性サイトカインのレベルの上昇が認められたと報告しています。

まとめ
新型タバコ(加熱式タバコ)は一般的に「害の少ないタバコ」だと思われ、メーカーからも「有害成分の含有量は従来型タバコの10%程度」というデータが公表されています。ただ、それは「100階から落ちるか10階から落ちるかの違い」でしかありません。そして、タバコの生産は貧困国を中心に行われており、収穫にあたる子どもたちが、経皮吸収による急性ニコチン中毒で死亡することもあります。もちろん、栽培に伴う環境破壊も座視してよい問題ではありません。


IQOS(アイコス)などの電子タバコや加熱式タバコとよばれる新型タバコは、これまでの紙巻きタバコ(燃やすタイプ)の禁煙を望むヒトだけではなく、これまでタバコを吸ったことがないヒトにも広く普及しています。

新型タバコの安全性について質問されることが良くあるので、この記事はとても参考になります。結論として、紙巻きタバコと同様にニコチンを含むので中毒性はほぼ同じ、発がん性については不明ということでしょうか?ニコチン中毒からの離脱はやっぱり難しいし、煙たくないので吸ってみる抵抗が少ないというのを考えると、新型タバコはかえってたちが悪いかもしれません。

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