ラニナミビル(イナビル)の欧米での開発は困難?
以下は、記事の抜粋です。
Biota’s lead drug fails mid-stage study, shares slump (Reuter 2014.08.01)
記事はラニナミビルオクタン酸エステル水和物(本邦:イナビル吸入粉末剤20mg 開発番号:CS-8958)の欧米で行われたフェーズ 2 で、有意差が得られず、臨床試験に失敗したというものです。ラニナミビルというと、ご存じの通り第一三共が創製した長時間作用型ノイラミニダーゼ阻害剤で、同社では、欧米においてBiota社と導出活動中と伝えていました(主要研究開発パイプライン)。
臨床試験は、2013年6月~2014年4月に世界12か国639人に対象に行われた“IGLOO trial”で、投与3日後のウイルス排出や二次的最近感染症の発症率は統計学的に有意に減少させたものの、一次アウトカムである、インフルエンザの症状を緩和する時間がプラセボと比べて有意差が得られなかったというものです(プロトコル)。
ラニナミビルについては、主に日本発の多くの研究発表がありますが、欧米での開発が現時点では困難になりつつなった今、これらの研究成果が国際的にどのような意味を持つものなのか、また、インフルエンザ治療薬のアウトカムは何なのかを考えさせられました。日本開発のインフルエンザ治療・予防薬のラニナミビルがローカルドラッグとなってしまわないか、気になるところです。
吸入型は呼吸器疾患のある人や高齢者に使いにくいので、いくら一度吸入すればOKとはいうものの、イナビル®を処方する医師は少ないだろうと、思っていました。
しかし、ミクスによる2010年11月度の病院薬剤部採用調査によると、新規採用の第1位は「イナビル吸入粉末剤20㎎」で(記事をみる)、日経メディカル2012年12月号の記事では10~60歳の患者では3人に1人に対してイナビル®が使用されていると報告されています(記事をみる)。日本の医師の新薬好き、あるいは「国産品」愛用ここに極まれりの感があります。
今年の冬はどうなるのでしょうか?
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