122匹のムンクイトマキエイが交尾のために渦を作る

122匹のエイが延々と渦を巻く求愛行動、初の報告
以下は、記事の抜粋です。


海面に上がる水しぶきが、その下で何かが起こっていることを知らせている。波の下では、100匹以上ものイトマキエイがぐるぐると渦を巻くダンスを何時間にもわたって続けているのだ。この「求愛の渦」は、ムンクイトマキエイ(Mobula munkiana)の過去に報告例のなかった行動である。

メキシコの海で撮影された新たなドローン映像には、122匹のエイが5時間にわたってこの行動に参加している様子が映っている。その間、中心の大きな渦には、いくつもの求愛グループが加わったり出ていったりを繰り返している。

イトマキエイの仲間は食事や休息の際に渦を作ることが知られているが、交尾のために渦を作るのが報告されたのは今回が初めてだ。円を描く動きは、通常よりもゆったりとしていた。エイたちは互いに触れあっており、顔の前にある角のようなひれを広げて餌を食べているわけでもなかった。

研究者らはまた、オスのエイたちが交尾をしようと一匹のメスを追いかけ、列車のように一列に並んで泳ぐ「求愛列車」を作って、大きな渦に出たり入ったりしている様子も確認している。

渦を作ることにより、エイは交尾相手をより早く選べると研究者のパラシオス氏は言う。「求愛列車に連なっている場合、オスは同じメスを何時間も、ときには何日も追いかけることになります」。一方、渦の中であれば、オスは30〜40匹のメスの中から最適な相手を選ぶことができる。

今回の研究ではまた、これまでイトマキエイの仲間では記録されたことがなかった「おんぶ跳躍」と呼ばれる新しい行動も、ムンクイトマキエイで観察されている。これは、求愛列車の先頭にいるオスがメスの上に乗りかかり、尾を上げてクラスパー(交尾器)を勢いよく突き刺すというものだ。

ある一匹のメスに対しては、この行動が135回以上行われた。「海面を泳いでいるときに、後ろからだれかが何度も何度も飛びかかってくるという状況を想像してみてください」とパラシオス氏は言う。おんぶ跳躍が行われると、メスの背中に擦り傷ができるとパラシオス氏は言う。この発見は今後、メスが性的に成熟しているかどうかを見分ける印として利用できる可能性がある。

イトマキエイの仲間は非常に臆病なので、通常は人間に近づこうとせず、すぐに驚いて逃げてしまう。しかし今回の遭遇では、「エイたちは研究者の存在を気にせず、彼らにぶつかってくることさえありました」とパラシオス氏は言う。「交尾に夢中になっている間は、外の世界のことなど目に入らないのでしょう」。そしてそのせいで、観光客、漁船、行き交う船などの脅威に対して無防備になってしまうと氏は指摘する。


以下は、論文に掲載されていた図です。(a~c)は複数のオスに追われたメスが逃げているところ、(d)は、いよいよ捕まってこれから交尾というところです。動画は元記事をご覧ください。

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