月経痛(生理痛)治療薬と血栓症リスク

生理痛の治療薬使った3人、血栓症で死亡
以下は、記事の抜粋です。


厚生労働省は1月17日、生理痛の治療薬「ヤーズ配合錠」を使った女性3人が血栓症で死亡した、と発表した。

同省は「薬との因果関係は否定できない」として、医療機関に対して、足の急な痛みや突然の息切れ、手足のまひが起きた場合は使用を中止し、救急医療機関を受診するように使用者に伝えるよう通知した。製造販売元のバイエル薬品には、添付文書に死亡のリスクを伝える警告を加えるよう指示した。

発表によると、3人は10~40歳代で、生理痛などで使い始めたが、肺動脈や足の静脈などの血栓症で2013年に死亡した。このうち、20歳代の女性は使用2日後に頭痛が起き、13日後に脳の血栓症で死亡した。


この記事だけをみると、「生理痛(医学的には『月経痛』が正しい)の治療薬」は何でも血栓症の恐れがあるように思えますが、そうではありません。アスピリンは月経痛に用いられる薬物ですが、抗血小板凝集作用があるので血栓予防薬としても使われています。逆に、出血リスクがあります。

記事に書かれている「ヤーズ配合錠」とは、少量の卵胞ホルモン薬(エストロゲン)と黄体ホルモン薬(プロゲステロン)が配合された、いわゆる低用量ピルと同様のEP配合剤の1つです。これらの女性ホルモン薬が、脳下垂体へのネガティブ・フィードバック作用により性腺刺激ホルモンの分泌を低下させることで、排卵と子宮内膜の増殖を抑制することが月経困難治療のメカニズムです。アスピリンが痛みや子宮収縮に関与する物質の産生を抑制するのとはまったく異なります。

いずれにしても、経口避妊薬やホルモン補充療法で女性ホルモン薬を投与すれば、血栓症リスクが増加することは既に良く知られており、注意事項にも書かれています(記事をみる)。また、「ヤーズ配合錠」の適応は、「生理痛」でも「月経痛」でもなく、「月経困難症」です。マスメディアの記事は、民衆を混乱させるだけのものです。

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