東大、運動/食事制限なしでメタボ/糖尿病の治療ができる薬の候補物質を発見
以下は、記事の抜粋です。
東京大学の門脇教授らは、創薬オープンイノベーションセンターの化合物ライブラリーを用いて、アディポネクチン受容体に結合してアディポネクチンと同じような効果を持ち、飲み薬となり得る低分子量化合物を見出すことに成功した。この受容体活性化化合物を高脂肪食あるいは遺伝的に肥満糖尿病を発症するマウスに内服させたところ、運動と同様の効果を発揮して、糖尿病・脂質代謝異常が改善するのが認められた。
さらに、遺伝的に肥満して糖尿病になるマウスに高脂肪食を与えた時には寿命の短縮が認められることが知られているが、今回受容体活性化化合物を内服したマウスと内服していないマウスの寿命を比べると、高脂肪食は同じように食していたにも関わらず、受容体活性化化合物を内服したマウスの寿命の短縮が改善するのが認められた。
内科的疾患や運動器疾患などによって運動ができない場合でも、アディポネクチン受容体を活性化することでメタボリックシンドロームや糖尿病の効果的な治療法となるのみならず、健康長寿の実現につながることが期待されるとしている。
元論文のタイトルは、”A small-molecule AdipoR agonist for type 2 diabetes and short life in obesity”です(論文をみる)。
スクリーニングでは、筋肉細胞に分化させたC2C12細胞を用いて、AMPKのαサブユニットの172番めのスレオニンのリン酸化を促進する物質を探しました。またこのリン酸化がアディポネクチン受容体のノックダウンで減少すること、さらに、ヒット化合物を野生型のマウスに静脈内投与すると、骨格筋と肝臓のAMPKのリン酸化を誘導するが、2つあるアディポネクチン受容体を両方ノックアウトしたマウスではこのような現象が認められないことも示しています。
“AdipoRon”とよばれるヒット化合物は、体重や食物摂取量に影響せずに血糖値や血清中のインスリン量を下げるそうです。運動/食事制限などの「摂生」をしなくても健康状態を改善し、寿命までも延ばすという夢のような話ですが、、、、
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