リジェクトされるべき論文を科学雑誌に送りつける実験

オープンアクセス誌の玉石混淆ぶりが明るみに
以下は、記事の抜粋です。


リジェクトされるべき論文をオープンアクセス誌に送りつける実験の結果が、Science誌に載った。

Who’s Afraid of Peer Review?

科学者が査読をすれば間違いなくリジェクトになる論文をわざと作り、これを様々なオープンアクセス誌に投稿、リジェクトされるかアクセプトされるかを調べた本実験。半分以上の雑誌がこのクソ論文をアクセプトしてしまったと言う。

さらには、実験対象となった雑誌、投稿した論文はもちろん、実際に行ったメールのやり取りまで、全てが公開されている!やり取りしたメールのヘッダにあるIPアドレスから割り出したエディターの国籍や、アクセプトされた場合の請求書から割り出した銀行の国籍も載っている。

Who does peer review?

たとえ査読をしていても、そのうち7割はフォーマットやアブストの長さなどの表面的な査読に留まり、科学的な内容を見なかった。科学の中身をろくに見ないでアクセプトし、高い掲載料を投稿者に要求するなんてまったくひどい話だ。

中には、雑誌名に冠された地名と出版社の位置が全く一致しておらず、客寄せのための詐称が疑われるものも。また、中には元締めの出版社や編集長の先生が現状を把握していないケースもある。おなじみのElsevierの傘下にある雑誌の一つは論文をアクセプトしてしまっているし、イギリスの有名大学が編集長をしている雑誌もアクセプトしてしまっている。

そんな中でも、PLoS ONEや、最近よくダイレクトメールが来るHindawi社の雑誌は、査読で科学的な不備を指摘し、きちんとリジェクトしている。なので、オープンアクセスそのものがおかしいというわけではもちろん無く、ちゃんとした雑誌を選んでいれば問題なくオープンアクセスの利点を生かせるはずだ。実際、同様の実験を非オープンアクセスの雑誌を対象に行ったらどうなるのかも気になる。


おもしろい実験ですが、サイエンスなどの既存の雑誌が、新興勢力のオープンアクセス誌の台頭に脅威を感じて、牽制するためにやった実験のような気がします。こういう実験は一度やってしまうと、出版社に警戒されてしまうので、もう一度やるのが難しいのが残念ですが、是非とも非オープンアクセス誌に対してもやって欲しかったと思います。同じような数字が出たかもしれません。

投稿者がトクホへの申請などのために、「ともかく何でも良いから学術誌に載せたい」と考えている足元を見て運営している出版社もありそうなので、和文医学雑誌を対象に同様の実験をやったらもっともっと悲惨な結果が出るような気がします。

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