ウパダシチニブ、中等~重症クローン病に有効

ウパダシチニブ、中等~重症クローン病に有効
以下は、記事の抜粋です。


中等症~重症のクローン病患者において、ウパダシチニブによる寛解導入療法および維持療法はプラセボと比較し優れることが、43ヵ国277施設で実施された第III相臨床開発プログラムの結果で示された。Mayo Clinic のEdward V. Loftus氏らが報告した。ウパダシチニブは経口JAK阻害薬で、潰瘍性大腸炎、関節リウマチ、関節症性乾癬、アトピー性皮膚炎および強直性脊椎炎に対して承認されており、クローン病治療薬としても開発中であった。

中等症~重症のクローン病で18~75歳の患者を対象とし、既存治療または生物学的製剤で効果不十分または不耐容の患者を、ウパダシチニブ45mg群またはプラセボ群に2対1の割合で無作為に割り付け、1日1回12週間投与する寛解導入療法試験を行った(二重盲検期)。さらに、両試験において臨床的奏効が認められた患者は、維持療法試験に移行し、ウパダシチニブ15mg、同30mgまたはプラセボ群に1対1対1の割合で無作為に割り付けられ、1日1回52週間の投与を受けた。

臨床的寛解を達成した患者の割合(ウパダシチニブ45mg群vs.プラセボ群)は、2つの試験でそれぞれ、49.5% vs.29.1%と38.9% vs.21.1%、内視鏡的改善は、45.5% vs.13.1%と34.6% vs.3.5%であり、プラセボ群と比較してウパダシチニブ45mg群で有意に高かった(すべての比較でp<0.001)。

また、U-ENDURE試験の52週時において、臨床的寛解を達成した患者の割合はウパダシチニブ15mg群37.3%、同30mg群47.6%、プラセボ群15.1%、同じく内視鏡的改善はそれぞれ27.6%、40.1%、7.3%であり、いずれもウパダシチニブの両用量群がプラセボ群より有意に高かった(すべての比較でp<0.001)。

安全性については、帯状疱疹の発現率は、ウパダシチニブ45mg群および30mg群がプラセボ群より高く、肝障害ならびに好中球減少症の発現率は、ウパダシチニブ30mg群が他の維持療法群より高かった。消化管穿孔が、ウパダシチニブ45mg群で4例、ウパダシチニブ30mg群ならびに15mg群で各1例に発現した。


大腸及び小腸の粘膜に慢性の 炎症 または潰瘍をひきおこす原因不明の疾患の総称を 炎症性 腸疾患(Inflammatory Bowel Disease:IBD)といい、クローン病(Crohn’s Disease)と潰瘍性大腸炎に分類されます。

クローン病は主として若年者にみられ、口腔にはじまり肛門にいたるまでの消化管のどの部位にも炎症や潰瘍が起こり、特に小腸末端部が好発部位です。非連続性の病変(病変と病変の間に正常部分が存在すること)を特徴とします。それらの病変により腹痛や下痢、血便、体重減少などが生じます。

クローン病は国の指定難病(96)で、日本の患者数は特定疾患医療受給者証交付件数でみると、平成25年度には39,799人となり増加がみられています。人口10万人あたり27人程度、米国が200人程度ですので、欧米の約10分の1でしたが、現在も増加傾向は続いており、令和元年度医療受給者証保持者数は44,245人です。

米国アッヴィ(NYSE: ABBV)が開発した経口JAK阻害薬ウパダシチニブが、難病の中等~重症クローン病患者に有効だという結果はかなりのグッドニュースだと思います。日本では、リンヴォックⓇという商品名で市販され、既存治療で効果不十分な○関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)、○関節症性乾癬、○X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎、○強直性脊椎炎と○アトピー性皮膚炎に適応が承認されていますが、クローン病に対してはまだ承認されていません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました