ピーナッツアレルギーのパッチを用いた経皮免疫療法

1~3歳のピーナッツアレルギー児、パッチ療法の有用性を検証
以下は、記事の抜粋です。


ピーナッツアレルギーの1~3歳児において、12ヵ月間にわたるピーナッツパッチを用いた経皮免疫療法はプラセボと比べて、脱感作の児の増加、症状を引き起こすピーナッツ量の増量という点で優れていたことが示された。コロラド大学のMatthew Greenhawt氏らが二重盲検無作為化プラセボ対照試験の結果を報告した。

8ヵ国51ヵ所で試験、12ヵ月時点の減感作を評価
試験は2017年7月31日~2022年4月27日に、米国、カナダ、オーストラリア、欧州の計8ヵ国51ヵ所で、ピーナッツアレルギーの1~3歳児を登録して行われた。

ピーナッツ蛋白の誘発用量が300mg以下の患児を、2対1の割合で無作為に、ピーナッツパッチ(ピーナッツ蛋白250μg含有[ピーナッツ1個の約1,000分の1])による経皮免疫療法を受ける群(介入群)とプラセボ群に割り付け、1日1回の貼付を12ヵ月間にわたって行った。主要エンドポイントは、12ヵ月時点の治療効果で、ピーナッツ蛋白の誘発用量で評価した。

介入群67.0%で効果、治療関連のアナフィラキシー発現は1.6%
362例が無作為化され、主要有効性および安全性解析に含まれた(介入群244例、プラセボ群118例)。このうち68.8%が男児で、年齢中央値は2.5歳、63.3%が白人であった。ベースラインの誘発用量が10mg以下だった患児は67例(介入群51例、プラセボ群16例)、10mg超は295例(同193例、102例)であった。ベースラインの両群の人口統計学的特性はバランスがとれていた。試験を完了したのは84.8%(介入群208例、プラセボ群99例)であった。

12ヵ月時点で治療効果が認められたのは、介入群67.0%、プラセボ群33.5%で介入群が有意に多かった。両群の貼付中に発現した有害事象(治療との関連性に関係なく)は、介入群100%、プラセボ群99.2%で観察された。最も多くみられたのは貼付部位反応(紅斑[介入群98.0%、プラセボ群90.7%]、かゆみ[94.7%、61.0%]、貼付部位腫脹[72.5%、39.0%]など)であった。

重篤な有害事象は、介入群8.6%(うち7.8%がアナフィラキシー)、プラセボ群2.5%(同3.4%)で認められた。重篤な治療関連有害事象は、介入群0.4%、プラセボ群では報告がなかった。治療に関連したアナフィラキシーは、介入群1.6%、プラセボ群では報告がなかった


元論文のタイトルは、「ピーナッツアレルギーの幼児を対象とした表皮免疫療法の第3相試験について」です(論文をみる)。

米国の小児のピーナツアレルギー有病率は約2%だそうです。発症した患者に対する標準治療は、除去食となっていますが、意図しない摂取によるアナフィラキシーを経験する患者が少なくないので、ピーナツを経口摂取させる免疫療法の臨床試験が行われているそうです(記事をみる)。しかし、ピーナッツアレルギー経口免疫療法はアレルギー反応を増加させる!?(記事をみる)という報告もあります。

経皮パッチ療法で経口療法の問題が解決するのかどうかわかりませんが、選択肢が増えるのは良いと思いました。

 

 

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