統合失調症に用いられる15種類の抗精神病薬の有効性および副作用の比較

Comparative efficacy and tolerability of 15 antipsychotic drugs in schizophrenia: a multiple-treatments meta-analysis
以下は、論文内容の簡単な紹介です。


無作為化比較試験212件を対象に、統合失調症に対する15種の抗精神病薬の有効性をメタ解析で比較した論文です。15種の薬は以下の通りです。

clozapine(クロザピン、クロザリル®)、amisulpride(日本未承認)、olanzapine(オランザピン、ジプレキサ®)、risperidone(リスペリドン、リスパダール®)、paliperidone(パリペリドン、インヴェガ®)、zotepine(ゾテピン、ロドピン®)、haloperidol(ハロペリドール、セレネース®)、quetiapine(クエチアピン、セロクエル®)、aripiprazole(アリピプラゾール、エビリファイ®)、sertindole(日本未承認)、ziprasidone(日本未承認)、chlorpromazine(クロルプロマジン、ウインタミン®、コントミン®)、asenapine(日本未承認)、lurasidone(日本未承認)、iloperidone(日本未承認)ということで、日本で承認されている薬物は15中9種です。

効果(overall efficacy):クロザピン>>amisulpride>オランザピン>リスペリドン>パリペリドン>ゾテピン>ハロペリドール>クエチアピン>アリピプラゾール>sertindole>ziprasidone>クロルプロマジン>asenapine>lurasidone>iloperidone

投薬の中断:amisulpride>オランザピン>クロザピン>パリペリドン>リスペリドン>>アリピプラゾール>クエチアピン>クロルプロマジン>ゾテピン>asenapine>iloperidone>ziprasidone>lurasidone>sertindole>ハロペリドール(最も中断しやすい)

体重増(少ない順):ハロペリドール>ziprasidone>lurasidone>アリピプラゾール>amisulpride>asenapine>パリペリドン>リスペリドン>クエチアピン>sertindole>クロルプロマジン>iloperidone>クロザピン>ゾテピン>オランザピン(一番体重が増える)

錐体外路症状(少ない順):クロザピン>>sertindole>オランザピン>クエチアピン>アリピプラゾール>iloperidone>amisulpride>ziprasidone>asenapine(ここまではあまり問題にならない)>>パリペリドン>リスペリドン>lurasidone>クロルプロマジン>ゾテピン>>ハロペリドール(一番錐体外路症状が出やすい)

プロラクチン増加(少ない順):アリピプラゾール>クエチアピン>asenapine>オランザピン>クロルプロマジン>iloperidone(ここまではほとんど増えない)>>ziprasidone>lurasidone>sertindole>ハロペリドール>>リスペリドン>パリペリドン(この2つが強く増やす)

鎮静(少ない順):amisulpride>パリペリドン>sertindole>iloperidone(ここまではほとんど鎮静はない)>>アリピプラゾール>lurasidone>リスペリドン>ハロペリドール>asenapine>オランザピン>クエチアピン>ziprasidone>クロルプロマジン>ゾテピン>クロザピン


作用や様々な副作用で、薬物の順位が入れ替わるところが興味深いです。また、クロザピン、オランザピンなどの「非定型」とか「第二世代」とよばれる抗精神病薬がハロペリドールよりもはっきりと優れているという結果には驚きました。

クロザピンは錐体外路症状が出にくくて、鎮静作用が強いところあたりが効力の強さに影響しているのかもしれません。あと、amisulprideが日本で承認されていないのが残念です。sulpride(ドグマチール®、アビリット®、ミラドール®)とほぼ同じなら良いのですが、、、

コメント

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    ブログ見させて頂きました!参考にさせて頂きます☆またの更新を楽しみにしています♪

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