サプリメントでは悪玉コレステロールは下がらない

低用量ロスバスタチン、プラセボ、および栄養補助食品の脂質および炎症性バイオマーカーに対する効果の比較
以下は、論文の要旨です。


背景
サプリメントは脂質低下療法の適応がある人によく利用されているが、特にスタチン系薬剤と比較した場合、低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)の低下に対する有効性を示すエビデンスは不足している。

試験の目的
本試験の目的は、脂質および炎症性バイオマーカーに影響を与える低用量スタチンとプラセボおよび6種類の一般的なサプリメントの有効性を比較することであった。

試験方法
本試験は、動脈硬化性心疾患(ASCVD)の既往がなく、LDL-Cが70~189mg/dLで、ASCVDの10年リスクが高い成人を対象とした単施設、前向き、無作為、単盲検の臨床試験であった。参加者は、ロスバスタチン5mg/日投与、プラセボ、魚油、シナモン、ガーリック、ターメリック、植物ステロール、紅麹に無作為に割り付けられた。主要エンドポイントは、28日後のLDL-Cのベースラインからの変化率で、ロスバスタチン5mg1日投与群がプラセボ群および各サプリメント群と比較された。主要評価項目は、共分散分析を用いて、まずロスバスタチンをプラセボと比較し、次に各サプリメントを予め指定された順序で比較するという階層的な方法で評価された。

結果
合計190人の参加者が試験を完了した。ロスバスタチンによるLDL-C低下率は、すべてのサプリメントおよびプラセボより大きかった(P < 0.001)。プラセボと比較したロスバスタチンのLDL-C減少率の差は-35.2%(95%CI:-41.3%~-29.1%、P < 0.001)であった。栄養補助食品はいずれも、プラセボと比較してLDL-Cの有意な減少を示さなかった。有害事象の発生率は、研究グループ間で同様であった。

結論
ASCVDの10年リスクが高い人において、ロスバスタチン5mg/日は、プラセボ、魚油、シナモン、ニンニク、ターメリック、植物ステロール、紅米よりも有意にLDL-Cを低下させることが示された。


この論文に対して、この発表に対して、業界団体(Council for Responsible Nutrition)の役員を務めているAndrea Wong氏が異議を唱えているそうです(記事をみる)。

同氏の主張は、「医家向けの処方薬を対照とする短期間の介入では、サプリの有用性の評価はできない。特に高コレステロール血症のような多因子が関与している状態の改善には、4週間という設定は短すぎる」というものだ。さらに同氏は研究に選択されたサプリの種類にも疑問を投げかけている。「用いられたサプリはいずれも心臓の健康上のメリットがよく知られているが、コレステロール低下目的で販売されているのは3種類のみであり、ほかのサプリは糖代謝や中性脂肪へのメリットを期待して使われているものだ。LDL-Cの変化率を評価するという研究目的で、なぜそれらのサプリが選択されたのか、理由が分からない」という。

Wong氏は、「サプリは、医薬品やその他の治療に取って代わるものではない。そうではなく、健康をサポートし、健康的な食事、身体活動、および医療専門家による定期的な検査と組み合わせて使用し、疾患のリスク抑制に役立てるものである」とサプリの意義を強調しているそうです。

この「サプリの意義」についてのエビデンスを示してほしいと思いました。以下は、論文の図です。

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