米FDAが人工妊娠中絶薬の郵送を承認~リプロダクティブヘルスにとって勝利である理由~人工妊娠中絶薬「ミフェプリストン」は2000年に承認されていたが、多くの女性は入手困難だった
以下は、記事の抜粋です。元記事には動画がついています。
米食品医薬品局(FDA)は先週、人工妊娠中絶薬ミフェプリストンの郵送を解禁した。ミフェプリストンはミソプロストールという薬と併用する薬で、2000年にFDAが70日以内の妊娠を中絶する薬として承認。いくつかの副作用があると専門家は言う。これまでは本人が直接、薬を受け取りにいかなければならなかったが、今は患者がオンライン診療で処方を受け、郵送してもらうことができる。
先週、アメリカ食品医薬品局(FDA)が妊娠中絶薬について、これまで患者が直接取りに行かなければならないというルールを廃止し、薬の郵送を許可すると発表した。
この決定はリプロダクティブ・ヘルスケア(性と生殖に関する健康へのケア)の観点において、自らの選択肢を拡大するものといえる。患者はオンライン診療で人工妊娠中絶薬「ミフェプリストン」の処方を受け、直接郵送してもらうことができるのだ。妊娠10週間以内に別の薬「ミソプロストール」と併用すると、妊娠に必要なホルモンの働きを抑え、中絶できる。
ワシントン大学准教授のエミリー・ゴドフリー医師は説明する。「ミフェプリストンは妊娠中絶を求める人にだけでなく、流産マネージメントを求めている人にも非常に重要な薬です」
ミフェプリストンは概して安全で効果的だと専門家はわかっており、20年にわたる使用を支持するデータがある。では、なぜ、FDAは今月になってやっと規制を緩和したのだろう? これによってアメリカ人は誰でも郵送で中絶薬を入手できるようになるのだろうか?
ミフェプリストンとは? なぜ制限されていた?
FDAによると、フェプリストンは、妊娠を継続するのに必要なホルモン、プロゲステロンを遮断する薬。妊娠70日以内の妊娠初期の妊娠のみ中絶することができる。(モーニングアフターピルやクリニックでの中絶とは異なるメソッド)。よく見られる副作用には、筋けいれんや膣からの出血などがある。
ミソプロトールという別の薬と併用するが、これは頸部を拡張し、子宮収縮を引き起こし、組織を押し出す薬であり、単独でも使用できるが、ミフェプリストンと組み合わせると、より効果的に中絶を誘発するという。
ミフェプリストンは2000年からFDAに承認されていたが、、患者は薬のメーカーからミフェプリストンのサプライヤーと認められた専門クリニックか病院まで行き、薬の目的の同意書にサインしてからでないと薬が入手できなかった。
「FDAの非常に厳しい規制はある中で、重要なのはこの薬はとても安全だということです。人が服用できる薬の中でもっとも安全な薬の一つかもしれません」とゴドフリー氏は言う。プロゲステロンのみを抑制するので、化学療法や抗生物質と異なり、非常に的を絞った薬だ。だが、毎日ステロイドを服用しなければならない女性はミフェプリストンを服用する前に注意が必要だと彼女は言う。
FDAは規則を緩和したとは言え、女性は従来と同じ書類にサインし、特別に認証された医療機関に薬を処方してもらわなくてはならない。唯一変わったのは、患者はクリニックに行かなくてもよくなったことだ。中絶薬は今でも通常の薬局では入手できないが、以前よりは少し入手しやすくなり、自宅で安全に妊娠中絶できる。
FDAが中絶薬に関する規制を緩和した理由は?
4月、FDAは、新型コロナパンデミック渦中はミフェプリストンを遠隔診療で処方し、郵送することを許可すると発表した。今月の決定は、この変更を永続的なものにした。最近、アメリカ疾病管理予防センター(CDC)がリリースしたデータから、2019年に行われた妊娠中絶の54%は10週以前で(全中絶の42%)、薬を使ったものだったことがわかった。
「FDAの規則があるために、薬のプロバイダーから遠く離れたところに住んでいる人でミフェプリストンを入手できる人は非常に限られていましたが、そういう人も早く治療が受けられます」とゴドフリー医師。「これは重要です。なぜなら遠いとケアが遅れることが多く、その結果、より多くの合併症が起こるからです」
20年の間に集められた豊富なデータから、ミフェプリストンは安全で効果的なことがわかっているとゴドフリー医師は言う。FDAに承認された2000年9月以来、490万人の女性がミフェプリストンを使って安全に妊娠中絶している。(注:FDAはこの薬に関連した26の死亡例があるが、それらの死が「間違いなくミフェプリストンに起因するとは断定できない」と報告している)
「この国では1年に約600万件の妊娠があります」とゴドフリー医師。「その約3分の1は流産で、4分の1は妊娠中絶です。潜在的に何百万人もの人がケアを受けやすくなるのです」
現状は?
FDAの決定にもかかわらず、主に南部と中西部にある19の州はオンライン診療による薬を使った中絶を許可していない。そうした州に住む患者が中絶薬の規制緩和のメリットを受けるには、規制のない州へ行かなければならないと、ゴドフリー医師は言う。
それに、解決策は完璧ではない。プロバイダー(医療機関)は今も薬のメーカーに登録する必要があるため、例えば、アメリカ合衆国退役軍人省は中絶を許可しておらず、宗教関係のプロバイダーは登録を拒否する可能性が高い。すると中絶薬を入手したい患者は別のところへ行って助けを求めざるを得ない。
「これは政治的動機に基づいた規制で、この国の持つ人と持たざる人(富裕層と貧困層)を非常に分断するものです。FDAは規制をすべて取り払う必要があります。ただ、それでも(今回の決定は)勝利と言えますね」
ミフェプリストンは、合成ステロイドでグルココルチコイドおよびプロゲステロン受容体の拮抗薬として機能します。 低用量では、ミフェプリストンはプロゲステロンの選択的拮抗薬として機能します。これは、細胞内プロゲステロン受容体に結合することによって行われます。高用量では、ミフェプリストンはグルココルチコイド受容体でコルチゾールを遮断します。
ミソプロストールはプロスタグランジン製剤で、日本でも胃の血管を拡張させて胃粘膜を保護する薬などとして承認されています。また、子宮筋を収縮される機能もあります。
要するに、これらの薬による中絶では、ミフェプリストンで妊娠の継続に必要なプロゲステロンの働きを阻害し、発育の停止した胎児を子宮を収縮させて人工的に流産をおこさせます。
日本では、「いまだに中絶において『配偶者の同意が必要』とする医療機関が多い」ことはよく問題になりますが、手術による中絶しか認められていないことはあまり問題になりません。中絶薬は、WHOが「女性の体と心への負担がより少ない」として、推奨している方法ですが、日本では認められていません。以下のニュース?が本当なら、そろそろ承認されても良いころです。これも統一教会の影響でブロックされているのでしょうか?
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