塩野義のコロナ経口薬「ゾコーバ」緊急承認…「承認ありき」の出来レース

塩野義のコロナ経口薬「ゾコーバ」緊急承認
以下は、記事の抜粋です。


厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の薬事分科会と医薬品第二部会の合同部会(分科会長:太田茂・和歌山県立医科大学薬学部教授)は11月22日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の経口治療薬「ゾコーバ錠125mg」の緊急承認を認めた。加藤勝信厚労相は直後に緊急承認し、12月初頭から医療現場で使用できるよう供給を開始するとの見通しを示した。塩野義製薬が2月に申請してから、この日が3回目の審議だった。5月に施行した改正薬機法で新たに認められた「緊急承認」を適用した審議の対象で、初の承認となった。同剤は7月、同部会で有効性の推定をするには不十分と結論づけられ、「審議継続」となっていた。

加藤厚労相は「国内企業が創製した初の経口薬で、使用対象者はこれまで承認されている経口薬と異なり、重症化リスク因子を有しない患者を含むとされている。対象が広がるということだ。新たな治療の選択肢として期待する。国内企業が製造販売する薬品でもあるから、安定供給の観点からも大きな意味があると考えている」と緊急承認の意義を強調した。

厚労省は塩野義製薬から100万人分を購入する契約を既に結んでおり、12月初頭には医療現場で使用できるよう、供給を開始する予定。パキロビッドパックの処方実績がある医療機関から供給を開始する。その後は特段の要件を設けず、各都道府県が選定した医療機関での処方や薬局での調剤ができるようにする。

PMDA「有効性を有すると推定するに足る情報は得られた」
臨床試験では有効性の主要評価項目は、▽倦怠感または疲労感、▽熱っぽさまたは発熱、▽鼻水または鼻づまり、▽のどの痛み、▽咳――の5症状が快復するまでの時間とした。塩野義製薬が提出した臨床試験第3相パートの速報結果によると、5症状が快復するまでの時間はプラセボ群で192.2時間であったのに対し、同剤投与群では167.9時間だった。(これだけ!!)こうしたデータに基づき医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、「現時点での結論であることに留意する必要はある」と断りつつも、「有効性を有すると推定するに足る情報は得られた」と結論づけた。

同剤は、新型コロナウイルス感染症の重症化リスク因子のない患者に投与可能な初の経口治療薬となる。

軽症から中等症Iまでの患者の治療選択肢となる。日本感染症学会はガイドライン案で、「一般に、重症化リスク因子のない軽症例の多くは自然に改善することを念頭に、対症療法で経過を見ることができることから、(中略)症状を考慮した上で投与を判断すべき」とした。具体的には、高熱・強い咳症状・強い咽頭痛等の症状がある者に処方を検討すること、としている。

有効性の「推定」をもって行われる緊急承認。この期限は1年で、塩野義製薬は1年以内に臨床試験の第3相パートの総括報告書等をもって承認申請する必要がある。申請がされてから、改めて有効性を「確認」できるか審査する。

非臨床試験において胎児に奇形を示唆する所見が認められており、潜在的な催奇形性リスクを有するとして妊婦または妊娠している可能性のある女性への投与は禁忌とした。また、併用禁忌は36種類ある。

薬食審委員の山梨大学学長の島田眞路氏(この人はマトモです。私も同感です。)は緊急承認制度の適用要件に「当該医薬品の使用以外に適当な方法がないこと」とあるのに対し、新型コロナウイルスに対する経口薬としては米メルクのラゲブリオと米ファイザーのパキロビッドパックがすでに承認されていることを指摘。パキロビッドパックは政府が200万人分を確保したが、5万6000人への投与にとどまっていることなどから、「既にある薬の使い方をしっかり指導するべき。代替の薬はある」と主張した。これに対して厚労省は、同剤は承認されれば初の国産経口薬となることから、既に承認された薬剤と比べ安定した生産・供給が見込める点で代替の薬剤はないという認識を示した。


この記事に対する現場の医師からのコメントはほぼすべて否定的です。以下は、私も同感だと思ったコメントです。今回の緊急承認は、サイエンスが政治とカネに完敗していることをよく示しています。犠牲になるのは、医療従事者と患者です。


〇処方を求められたら、日本人では6.3時間(発表された臨床試験はベトナムで行われた)早く①倦怠感又は疲労感、②熱っぽさ又は発熱、③鼻水又は鼻づまり、④喉の痛み、⑤咳が消えるそうです、と説明することにしようかな。最初は<12 症状>①倦怠感又は疲労感、②筋肉痛又は体の痛み、③頭痛、④悪寒又は発汗、⑤熱っぽさ又は発熱、⑥鼻水又は鼻づまり、⑦喉の痛み、⑧咳、⑨息切れ(呼吸困難)、⑩吐き気、⑪嘔吐、⑫下痢だったのに、統計的有意差が捏造できる5症状を選択したのではと俺は思う。(実際、12症状では統計的有意差はなかった!!)

〇ここまでニュースになったので医師が使いたくなくても患者さんからの処方希望が強くて処方せざるを得ないんじゃないでしょうか。大して効果のない軽症向けの薬を承認して「安心感」を国民の間に作り出したい意図が感じられますが、この薬を承認した事でしばらくは、特に救急医療の現場は逆に混乱することを危惧しています。これまでも波の度に「PCRをして欲しくて救急車を呼んだ」ような事例が頻発していますし、ゾコーバが欲しくて救急車を呼ぶ、またはコロナの確定診断が得られていないのにゾコーバの処方を要求する、などの事例が頻発しそうです…。

どの症状の組み合わせが統計的有意差を出せるか組み合わせて計算したんだろうと推測される
んでもって出せたp値が0.0407!こういうのをp-hackingと言うんだと思う。

なぜ、承認されたのか、疑問。医学の質の低下を招く。こういうのを許しているようでは科学の根幹が揺らぐ

〇おっしゃることはとてもよく理解できました。ただ、今回の件に関しては、承認ありきで話が進んだことに対して疑念の目を持たざるを得ません。感染症学会、化学療法学会の会長が、学会の総意なく声明を出したことも然り。政治家が目的のために手段を選ばないのはある程度理解できますが、学者がこれをやっちゃダメでしょう。あ、学者じゃなくって政治家だったのか。それなら納得です。


倦怠感又は疲労感などのいい加減な症状がプラセボの8日から服薬の7日に短くなるなんて、、、これが有意???

コメント

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