新規多発性硬化症薬Tecfidera(フマル酸ジメチル )をFDAが承認

Biogen’s MS Drug Tecfidera Wins FDA Nod

以下は、記事の抜粋です。


再発・寛解を繰り返す通常タイプの多発性硬化症の治療薬として、フマル酸ジメチル (dimethyl fumarate)がFDAにより承認され、Biogen社から”Tecfidera”という商品名で販売予定である。BG-12という名前でも知られるこの薬物は経口摂取可能で、フィンゴリモド (fingolimod、Gilenya) とteriflunomide (Aubagio)に続く第3の経口多発性硬化症治療薬である。

フマル酸ジメチルの作用機序は既存の多発性硬化症薬とは異なり、NRF2(nuclear factor-like 2)転写経路を活性化し、脱ミエリン化を引きおこす酸化ストレスを減弱させるとされている。この薬物は、以前からヨーロッパでは乾癬の治療薬として用いられ、家具の製造業では防カビ剤や乾燥剤として使われてきた。

“DEFINE”と”CONFIRM”と名づけられた2つのプラセボ対照第 3 相試験には、計2,700例の患者が参加した。CONFIRMではプラセボに加えて標準的な注射薬であるglatiramer acetate (Copaxone)とのオープンラベルでの比較も行われた。

承認の根拠となったこれら2つの臨床試験において、フマル酸ジメチルはプラセボよりも再発の予防に優れ、障害の進行を遅らせた。また、CONFIRM試験ではglatiramer acetateよりも効果的であることが示唆された。

もっとも多い副作用は消化管系の訴えと顔面紅潮である。FDAはリンパ球減少の可能性も指摘しているが、臨床試験では感染症の増加は認められなかった。

FDAの担当者は、「現在のところ多発性硬化症を治癒させる薬物はないので、患者の治療オプションを多様化することが重要だ」と述べている。


“DEFINE”は、”Placebo-Controlled Phase 3 Study of Oral BG-12 for Relapsing Multiple Sclerosis”というタイトルの論文で結果が報告されています(論文をみる)。また、”CONFIRM”は”、Placebo-Controlled Phase 3 Study of Oral BG-12 or Glatiramer in Multiple Sclerosis”というタイトルです(論文をみる)。

DEFINEのデータによると、再発率だけをみても、BG-12(フマル酸ジメチル) 1日 2回群 27% 対 プラセボ群 46%というように、かなりの効果があるようです。他のニュースによると、フィンゴリモドには心臓への懸念、Aubagioには肝障害があるという話ですので、アナリストはTecfideraが年間売り上げ30億ドル近いトップシェアの経口多発性硬化症治療薬になるのではないかと期待しているようです。

フマル酸ジメチルは下図のように、非常に簡単な構造で、記事にも書かれているように、家具や皮革製品などの防腐剤・乾燥剤として使用されているそうです(説明をみる)。そうすると、価格的にもかなり安価であることが期待できると思います。

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