アルツハイマー病、もっと早期に発見できる可能性も―プレセニリン1 E280A変異キャリアの解析

アルツハイマー病の兆候、もっと早期に発見できる可能性も 英誌ランセット

以下は、記事の抜粋です。


アルツハイマー病の早期発見と予防の方法が模索される中、これまでで最も早期の兆候を発見したとする研究が、11月6日のLancet誌に掲載された。

米アリゾナ州にあるBanner Alzheimer’s InstituteのEric Reiman氏率いる米国とコロンビアの共同研究チームは、親戚関係にありアルツハイマー病の遺伝的素因を持つ18~26歳のコロンビア人44人の脳を調べた。

この親族に伝わる遺伝子変異は、老年期になってアルツハイマー病を発症させる通常タイプと異なり、40代で発症させる珍しい変異で、44人中20人に確認された。検査当時の認知能力には全員、何の問題もみられなかった。

脳を比較したところ、遺伝子変異のあるグループは、ないグループに比べて脳の特定の部位の灰白質が少なかった。また、アルツハイマー病患者の脳に蓄積してアミロイド斑(プラーク)を形成するとされる「アミロイドβ蛋白」の脳脊髄液中の濃度は、遺伝子変異のあるグループのほうが高かった。

ロンドン大学のNick Fox氏は、「症状が現れる20年以上前から神経変性が始まっていることを示しており、これまでのMRIによる研究で示唆されていたより幾分早い」とコメント。一方、Fox氏は、「プラーク蓄積の兆候よりも先に神経変性が起きているようだ」と指摘。また、今回の研究結果は被験者数が少ないため慎重に扱う必要があり、しかも、より一般的な老年期に発現するアルツハイマー病にはあてはまらない可能性もあると述べている。


論文の研究では、コロンビアの18—26歳のpresenilin 1遺伝子におけるE280A変異のキャリアを調べています。研究に含まれたキャリア群は20名、ノンキャリア群は24名です。

記事に書かれている灰白質量と脳脊髄液中のAβ1—42量以外に、機能的MRIや血清Aβ1—42量も両群間で有意な差が認められました。これらの結果は、キャリア脳におけるAβ1—42の過剰生産を示唆していると書かれています。しかし、これらの変化が神経変性によるものか発達障害によるものかは不明だとしています。

個人的にはあまり検査されたくないですが、老年期に発病するアルツハイマーにおいて、これらの変化が認知症の発現に先行して認められるかどうかが今後の問題になると思います。

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