ブースター接種「5つの大誤解」…オミクロンは軽症だから追加接種は必要なし?

医師が徹底解説!ブースター接種「5つの大誤解」…オミクロンは軽症だから追加接種は必要なし?
以下は、記事の抜粋です。岐阜の開業医、安藤氏のコメントです。エビデンスは示されていませんが、今のところはほぼ正しいアドバイスだと思われるので紹介します。


思うようにワクチン接種が進まない背後には、1、2回目接種の副反応からの抵抗感や、「オミクロン株は感染しても軽症ですむだろう」という楽観論がある。真相はいかに? ブースター接種にまつわる誤解と真実を追究する。

他国と比べて日本のブースター接種は遅れているが、ワクチンに対する不安がいまだに根強いことも大きな理由の1つだろう。一般の人にも3回目の接種券が届き始めたなか、ブースター接種にまつわるさまざまな疑問と誤解について、あんどう内科クリニックの院長・安藤大樹先生に話を聞いた。

1 オミクロンは軽症ですむから追加の接種は必要なし?
「医学的には間違いではない部分もありますが、新型コロナは軽症であっても後遺症が残る事例も出ており、当然ですが感染しないに越したことはありません。また、感染によって得られる抗体量よりも、ワクチンを接種したほうが同等、あるいはそれ以上の抗体を獲得できます。どちらにしても抗体ができてから6カ月ほどで抗体の量は減少します。そこで追加接種をして抗体を維持しようというのがブースター接種の基本的な考え方です」(安藤先生、以下同)

「2度のワクチン接種をしていても感染する、いわゆるブレイクスルー感染が起こっているのは事実です。ただし、ワクチンに感染予防効果がまったくないということではなく、ブースター接種でウイルスの侵入を阻む中和抗体の量が10.2~31.7倍になるというデータも示されました。接種しても感染するなら意味がないと思う人もいるかもしれませんが、少なくとも重症化リスクは確実に軽減できます。」

2  治療薬の開発が進んでいるからワクチンは不要?
新型コロナの新承認薬も増え、国内での新薬開発も急ピッチで進んでいる。治療薬が増えれば、ブースター接種の必要はなくなるのだろうか。

「新薬については、一般の方の期待と医療現場の現状が大きくかけ離れている部分かもしれません。たしかに昨年12月24日に、モルヌピラビルという飲み薬が認可され、医師としてもやっと武器が手に入ったような気持ちです。ただし、現状では薬局でのストック数は限られています。」

モルヌピラビルは、「ウイルスの増殖を防ぐ薬で、発症後すぐに飲めば重症化を防ぐ効果があります。ただし、デルタ株に対しての臨床データの結果であり、オミクロン株の患者さんへの処方はなかなか難しいところです。また、入院・死亡リスクを3割程度下げるという薬なので、“これでコロナが治る”というものではありません。」

3 副反応が強いモデルナは嫌、ファイザーがいい
「モデルナとファイザーの大きな違いは、タンパク質の設計図であるmRNAの量。1回の投与量がファイザー製は30マイクログラム、モデルナ製は100マイクログラムとなっています。抗体をつけて発症を予防するということだけを見れば、実はモデルナのほうが優秀です。しかし、そのぶん副反応も出やすく、とくに若年層の心筋炎などの副反応の頻度はモデルナのほうが高いといわれているため、ファイザーを希望する人が多いのだと思います」

「実際のところは一定以上の抗体がつけば、発症予防や重症化予防率にあまり差はありません。ブースター接種ではモデルナ製ワクチンは1、2回目の投与量の半分の50マイクログラムを投与することになっていますが、それでも十分な効果があります。また、3回目の接種では、過去2回のワクチンとは別の種類のワクチンを打つ、いわゆる交差接種をすると中和抗体量が上がるというデータが出ています。過去にモデルナを打った人はファイザーを、ファイザーを打った人はモデルナを打つと、ワクチンの効果を高められますが、同種のワクチンでも効果は期待できます」

4 2回目接種から、8カ月たつまで接種しなくていい?
「実は8カ月という日本の目安自体あまり根拠がない数字で、海外では2回目接種から6カ月後としている国が多いです。接種直後から抗体量は徐々に減少し、6カ月ほどで抗体価は10分の1ほどになるため、そこがブースター接種の目安となっています」

5 新たな変異株が発見されたら、現行のワクチンの意味なし?
「多少なりとも予防効果が落ちてしまうことは十分に考えられますね。ウイルスはワクチンに対抗して生き延びようとするので、確実に変異は進みやすくなります。変異株に対抗できるワクチンの開発も進んでいますが、新ワクチンが出回るまでにはどうしても時間がかかります。ワクチンとウイルスのイタチごっこになると、ウイルスのほうが一枚上手ですね」

「オミクロン株に比較的軽症例が多いのは、既存のワクチン接種によって得られた免疫の効果も大きいと思われます。また、変異を経て感染力が強まっても、毒性は弱くなっていくというのがウイルスによく見られる傾向です。インフルエンザも100年ほど前にパンデミックが起き、収束までに30年ほどかかりました。今では飲み薬も有効なワクチンもあり、社会活動を止めるほどの感染症ではありません。コロナも同じようにいつかは落ち着いていくと思いますが、特効薬や画期的なワクチンが開発されるまでは現在のワクチンと感染予防で戦っていくしかないですね」


結論にはほぼ賛成ですが、薬については「耐性菌の出現」について書かれていないのが不満です。薬に頼る最大の問題点は耐性菌の出現です。歴史的には「ワクチンとウイルスのイタチごっこ」よりも「薬とウイルスのイタチごっこ」の方がはるかに大きな問題です。何度も書きますが、感染症にはワクチンによる予防がベストです。

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