リリーの新型コロナ治療薬・ベブテロビマブに緊急使用許可…オミクロン株にも活性示す抗体医薬

米FDA リリーの新型コロナ治療薬・ベブテロビマブにEUA オミクロン株に活性示す抗体医薬
以下は、記事の抜粋です。


米食品医薬品局(FDA)は2月11 日、イーライリリーの新型コロナ治療薬ベブテロビマブ静脈注射剤(モノクローナル製剤)に緊急使用許可(EUA)を認めた。同剤は、入院や死亡など重症化リスクの高い軽症から中等症の新型コロナ患者で、ほかの治療選択肢が受領できないか、臨床的に不適応な患者が対象となる。なお、入院患者や酸素吸入を必要とする患者は適応に含まれていない。

EUAは、第2相無作為化臨床試験のデータに基づく。試験では、ベブテロビビマブ単剤に加え、他のモノクローナル抗体の新型コロナ治療薬との併用下での有効性を評価した。同剤は、新型コロナウイルスのスパイクタンパクに結合し、ウイルスの細胞への侵入を抑制することで有効性を発揮する。

イーライリリーのDaniel Skovronsky最高科学および最高医学責任者(CSOおよびCMO)兼リリーリサーチラボラトリーズ所長は、「リリーの科学者はオミクロン株が同定される以前である2021年早期から、変異株と闘うために処方できる使われる広範な中和抗体としてベブテロビビマブを開発し始めていた。」とコメントした。


新型コロナウイルスに対する抗体療法は、トランプ元大統領に使われたように、新型コロナウイルスの感染拡大初期から有効な治療法として、高額な抗体医薬にもかかわらず日本でも広く用いられています。「抗体カクテル」として知られている「ロナプリーブ®」はデルタ株には有効ですが、オミクロン株には無効だと報告されています。昨年の9月に登場した「ソトロビマブ(ゼビュディ®)」はオミクロン株にも有効だとされています。

ロナプリーブ®は、新型コロナから回復した患者の体内に生じた抗体を大量生産したものですが、ソトロビマブは新型コロナではなく、SARSから回復した患者から採取された抗体ですが、ハクビシンなどの動物に感染する別のコロナウイルスに効く幅広い種類のコロナウイルスに効果があることに注目されて作られた「広域中和抗体」と呼ばれる抗体です。

イーライリリーのDaniel Skovronsky氏の記事中の発言からの推測ですが、今回の「ベブテロビビマブ」も「広域中和抗体」だと思われます。経口薬ではないのでやや使いにくいですが、治療選択肢が増えることは大歓迎です。

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