接種勧奨再開のHPV(子宮頸がん)ワクチン、男性にも高い有効性

接種勧奨再開のHPVワクチン、男性にも高い有効性
以下は、記事の抜粋です。


副反応の報道により、2013年から個別接種の積極的勧奨が中止されていたHPV(子宮頸がん)ワクチンについて、国内外から有効性と安全性を認める報告が集積し、ついに2022年4月から積極的勧奨が再開される見通しだ。定期接種として無料で接種できるのは13~16歳の女子だが、同ワクチンが若年男性の感染症およびウイルス起因のがん予防に有効であると報告された。

Stephen E Goldstone氏らによる本研究は、4価のヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンを用いた、16~26歳の男性1,803例を対象とした無作為化プラセボ対照試験。10年間の追跡調査で、HPV6または11に関連した外性器疣贅、HPV6、11、16、18に関連した性器病変および肛門異形成の発生率を評価した。

有効性に関する主要評価項目は以下のとおり。

・全被験者におけるHPV6または11に関連した外性器疣贅の発生率
・HPV6、11、16、18に関連した性器病変の発生率
・MSM例におけるHPV6、11、16、18に関連した肛門上皮内新生物(肛門疣贅と扁平病変を含む)または肛門がんの発生率

主な結果は以下のとおり。

・2010年8月10日~2017年4月3日の間に1,803例が登録され、うち936例(異性愛:827例、MSM:109例)が早期群に、867例(異性愛:739例、MSM:128例)がキャッチアップ群に組み入れられた。
・早期群はワクチン3回目接種後に中央値9.5(範囲:0.1~11.5)年、キャッチアップ群は3回目接種後に中央値4.7(0.0~6.6)年のフォローアップ調査を受けた。
・「長期フォローアップ中の早期群」と「基本試験中のプラセボ群」を比較した1万人年当たりの発生率は以下のとおり。
●外性器疣贅:0.0対137.3
●外性器病変:0.0対140.4
●MSMの肛門上皮内新生物または肛門がん:20.5対906.2
・ワクチンに関連した重篤な有害事象は報告されなかった。

著者らは「4価のHPVワクチンは、HPV6、11、16、18に関連する肛門性器疾患に対する持続的な保護を提供する。この結果は、キャッチアップ接種を含む男性への4価HPVワクチン接種を支持するものである」としている。

国内におけるHPVワクチンの承認状況は、女性対象は2価(商品名:サーバリックス)、4価(ガーダシル)、9価(シルガード9)が承認済みだが、男性対象は4価のみで公費助成は対象外、適応は肛門がん(扁平上皮がん)およびその前駆病変、尖圭コンジローマとなる。海外では男性に対しても接種勧奨や公費助成の対象とする国も多い。


国は、「ワクチン後進国」を脱したいのであれば、今さら追いつかないワクチン研究や開発にムダ金を投入するのではなく、このようなワクチンに対する国民の理解と公費助成をまず最初に進めて欲しい。

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