副作用ほとんどない抗がん薬?

副作用ほとんどない抗がん薬、浜松医科大が開発

以下は、記事の抜粋です。


浜松医科大(浜松市)は11月22日、副作用を軽減させる抗がん剤開発を進め、動物実験で効果が得られたと発表した。今後、臨床試験に入り、実用化を目指す。

研究グループの杉原准教授によると、悪性腫瘍は1~2ミリ以上になると、栄養を取り込むため「新生血管」を生じさせる性質がある。グループは、アミノ酸がつながってできる「ペプチド」の一種が、新生血管に集まりやすい特性を発見。新生血管だけに薬が運ばれるよう、ペプチドと組み合わせた抗がん剤を開発した。

同大が、米サンフォードバーナム医学研究所と行った共同研究で、この抗がん剤をがん細胞を持つマウスに投与したところ、従来の約40分の1の量で、19日目にがん細胞がほぼなくなり、副作用は全く認められなかったという。成果は、PNAS(電子版)に発表される。


元論文のタイトルは、”Targeted drug delivery to tumor vasculature by a carbohydrate mimetic peptide”です(論文をみる)。

研究者らは、ファージディスプレイという方法を使って、アネキシン1(annexin 1、Anxa1)という腫瘍血管の内皮細胞に高発現する分子と結合する「IF7」というペプチドを発見しました。IF7は、IFLLWQRという7つのアミノ酸からできており、蛍光色素であるAlexa 488 (A488)をIF7に共役させたIF7-A488は、マウスにおいて静脈内投与後数分で腫瘍組織に集積しました。

さらに、SN-38というトポイソメラーゼIの活性を阻害する抗がん薬をIF7に共役させたIF7C(RR)-SN38を、ヒト大腸がんHCT116を移植したヌードマウスに静脈内投与したところ、副作用は示さずに腫瘍の増殖を効果的に抑制しました。

これらの結果から研究者らは、IF7ペプチドが腫瘍特異的に薬物を運ぶ効果的な薬物配送ツールとして役立つ可能性があるとしています。

記事の表題は誤りで、薬物に副作用がないわけではなく、腫瘍だけを狙って薬物を投与する方法が動物実験で成功したというニュースです。

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