妊婦血液でダウン症などを高精度に出生前検査―9月から試行がスタート

ダウン症の出生前診断:来月から妊婦血液検査を試行
以下は、記事の抜粋です。


妊婦の血液だけで、胎児にダウン症などの染色体異常があるかを99%の精度で調べる米国の会社が開発した新型の出生前診断を、国内の2病院が来月から試験的に開始することが分かった。いずれも臨床研究として行う。

対象は胎児の染色体異常のリスクが高まる35歳以上の妊婦などで、費用は21万円程度を予定している。8月31日に2病院や今後導入を検討している病院の医師らが研究会を発足させる。

検査は米国の検査会社「シーケノム」が昨秋米国で始めた。妊婦から採血し、血液中にわずかに漂う胎児のDNAを集めて、23対ある人間の染色体のうちダウン症の特徴である21番染色体が通常より1本多いかどうかを判定する。妊娠10週ごろから可能。他に発生頻度が比較的高い二つの染色体異常についても高精度で検出できるという。


Sequenom社のNews Releasesに詳しい説明があります(Releaseをみる)。これによると、”MaterniT21 PLUS”という商品名の診断キットです。21、18、13番染色体DNAの増加と胎児の性別が診断できるということです。

Loらが1997年に初めて妊娠妊婦の血清・血漿中に胎児由来のDNA が存在することを証明して以来、血清・血漿中胎児DNA に着目した研究が行われるようになりました(論文をみる)。このようなDNAは、cell-free fetal DNA (cffDNA)とよばれます。

cffDNAを利用した胎児診断はSequenom社以外にも数社が開発しています。ダウン症などの染色体のトリゾミーの場合はDNA量の増加、性別の場合はY染色体の存在で診断できるそうです。

市場向けの検査は、今のところどれもこの程度のレベルですが、下の2つの関連記事で紹介したように、研究的レベルではcffDNAを用いて胎児の全ゲノム配列をきめることが既に可能です。

日本産婦人科学会は、着床前遺伝子診断に対しては完全否定ですが、この検査にはやや甘い対応のような気がします。できれば、着床前遺伝子診断を進めている大谷先生のコメントを聞きたいと思います。

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