ニルマトレルビル/リトナビル(パキロビッドパックⓇ)、オミクロン流行下の外来患者リアルワールドデータ

ニルマトレルビル/リトナビル、オミクロン下の外来患者リアルワールドデータ
以下は、記事の抜粋です。


本研究は、コロラド州の医療システムの記録を用いて、2022年3月26日~8月25日の期間にSARS-CoV-2に感染した外来成人患者を対象として、後ろ向きに追跡した試験である。対象患者は、SARS-CoV-2検査陽性またはニルマトレルビル/リトナビルが処方された患者2万1,493例であった。主要評価項目はSARS-CoV-2検査陽性後28日間の入院、副次評価項目はCOVID-19に関連するSARS-CoV-2検査陽性後28日間の入院であった。その他の副次評価項目として、SARS-CoV-2検査陽性後28日間の全死亡、SARS-CoV-2検査陽性後28日間の救急受診などが評価された。解析は、ニルマトレルビル/リトナビルが投与された患者(ニルマトレルビル群)とCOVID-19治療薬が投与されなかった患者(非投与群)の傾向スコアをマッチングさせて行われた。

主な結果は以下のとおり。

・対象患者2万1,493例の内訳は、ニルマトレルビル群9,881例、非投与群1万1,612例であった。
・SARS-CoV-2検査陽性後28日間の入院は、ニルマトレルビル群0.9%(61/7,168例)、非投与群1.4%(135/9,361例)であり、ニルマトレルビル群で有意に減少した(調整オッズ比:0.45)。
・SARS-CoV-2検査陽性後28日間の全死亡は、ニルマトレルビル群0.1%未満(2/7,168例)、非投与群0.2%(15/9,361例)であり、ニルマトレルビル群で有意に減少した(同:0.15)。
・臨床的に重要な再発の代替指標として救急受診を用いたところ、SARS-CoV-2検査陽性後28日間の救急受診は、ニルマトレルビル群3.9%(283/7,168例)、非投与群4.7%(437/9,361例)であり、ニルマトレルビル群で有意に減少した(同:0.74)。
・SARS-CoV-2検査陽性後28日間の入院に関するサブグループ解析では、ワクチン接種状況(0回、1または2回、3回以上)、年齢(65歳未満、65歳以上)、感染時期(BA.4系統、BA.5系統の出現前、出現後)などの交互作用は認められなかった。

本論文の著者らは、本研究結果について「ニルマトレルビル/リトナビルは、BA.4系統、BA.5系統が主流となった期間を含むオミクロン株流行期において、SARS-CoV-2検査陽性後28日間の入院および全死亡を大幅に減少させた。また、ニルマトレルビル/リトナビル投与後のリバウンド症状が重篤化することはほとんどないと考えられることは、心強いことである。BA.4系統、BA.5系統を含むオミクロン流行期において、外来患者に対するニルマトレルビル/リトナビルの有効性を示唆した初めてのデータである」とまとめている。


元論文のタイトルは、”Real-world use of nirmatrelvir–ritonavir in outpatients with COVID-19 during the era of omicron variants including BA.4 and BA.5 in Colorado, USA: a retrospective cohort study(米国コロラド州におけるBA.4およびBA.5を含むオミクロン変異体時代のCOVID-19外来患者におけるニルマトルビル・リトナビルの実使用:レトロスペクティブ・コホート研究)”です(論文をみる)。

入院が約1/2、死亡が約1/8に減っているのは、「大幅に減少させた」と言ってよいと思います。ニルマトレルビル/リトナビル(パキロビッドパックⓇ)は、他の薬物との併用に注意する必要がありますが、現在最も重要なOVID-19治療薬です。

28日目までの全死因入院の累積罹患率プロット(治療状況別)

28日目までの全死因入院の重症度

 

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