米最高裁、ヒト遺伝子の特許認めず
以下は、記事の抜粋です。
米最高裁判所は6月13日、自然に発生するヒトの遺伝子配列は、特許の対象にならないが、人工的に転写・複製したDNAは対象になり得るという判決を下した。
判決によると「自然に発生するDNAの断片は、自然の産物であり、単に分離されただけでは特許の対象にはならないが、相補的DNA (cDNA)は、自然に発生したものではないため、特許の対象になる」という。
最高裁判事9人は今回の判決に先立ち、バイオ企業のミリアド社が特許を取得している2つの遺伝子「BRCA1」と「BRCA2」に関する2012年の米控訴審判決を再審理した。
訴訟は、米国自由人権協会や15万人以上の研究者、医師、患者らが、特許対象の遺伝子を使用した今後の研究・調査の妨げになるとして、先の控訴審判決を覆すよう最高裁に申し立てたもの。今回の判決は、科学界側の勝利となった。
判決は、ミリアドが「重要で有用な遺伝子を発見したが、画期的、革新的で、卓越した発見でさえも、それだけで(特許法の)条件を満たすわけではない」としている。
だが、判決の知らせの直後、同社の株価は急騰した。cDNAの特許権を保持できることになったからだ。同社は、「最高裁の判決によって、無効になる特許請求もあり、守られるものもある」と述べている。
このブログでも何度もとりあげてきた問題ですが、ようやく決着がついたようです。ゲノムDNAと相補的DNA (cDNA)の間で線を引くというのは、リーズナブルだと思います。cDNAとは、mRNAを鋳型にして逆転写酵素で作ったDNAです。これを使えば、遺伝子でコードされるタンパク質を大量に作ったりできます。
ところで、各種組織からほとんど全てのmRNAを網羅したcDNAバンクを一気に作る技術も完成していたと思います。こういう場合、それぞれのcDNAの特許権はどこに行くのでしょうか?
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