ゴリラはなぜ胸を叩くのか?

ゴリラはなぜ胸を叩くのか? その音からわかったこと
以下は、記事の抜粋です。


1933年のキングコングの登場により、「胸叩き(ドラミング)」というゴリラの行動を世界中の人々が知ることになった。 しかし、ゴリラのオスがなぜ自身の胸を叩くのかについては、科学者による推測はあるものの、確かな証拠はこれまでほとんど見つかっていなかった。

マックス・プランク研究所のエドワード・ライト氏の新しい研究によると、マウンテンゴリラのオスの胸叩きは、体重200キロにもなるゴリラ同士の争いを防いでいる可能性があるという。

マウンテンゴリラは、シルバーバックと呼ばれるおとなのオスを中心とした、緊密な血縁グループで暮らしている。しかし、シルバーバックはいつでも他のオスから挑戦を受ける可能性がある。だから、自分の体格、繁殖できる状況にあること、戦闘能力などを、音で遠くまでアピールして、これから挑戦しようとする他のオスたちに考え直したほうがいいというシグナルを送っているのだ。

ライト氏らは、ルワンダの火山国立公園で、絶滅危惧種のマウンテンゴリラを3000時間以上にわたって観察した。研究では、胸叩きの周波数、叩いた回数と持続時間を記録した。また、写真からゴリラの各個体の肩幅を測定し、音のデータと体格との関係を調べた。

その結果、体の大きなマウンテンゴリラは、体の小さな個体よりも低い周波数の音を出していることがわかった。大きな個体は、のどの辺りの気のうが大きいためだと考えられる。つまり、胸を叩くことは単なる視覚的な表現ではなく、ワニの低い声やバイソンの唸り声とも共通する、「競争力を示す正直なシグナル」であるというのだ。

映画などでよく見かけるゴリラの胸叩きだが、まだまだ誤解されていることがたくさんある。まず、本物のゴリラは、拳を握って胸を叩くことはない。手をカップ状にして叩くことで、音を増幅させている。1キロ離れた場所でも音が聞こえるのは、こうした工夫のおかげかもしれない。

ゴリラは巨大な筋肉と長い犬歯を持つが、実際のケンカをすることはほとんどない。その理由の一つは、胸を叩くことで、接触することなくお互いの大きさを知ることができるからだと、ライト氏は考えている。


元論文のタイトルは、”Chest beats as an honest signal of body size in male mountain gorillas (Gorilla beringei beringei)”です(論文をみる)。オス同士のケンカを避けることが目的かどうかはわかりませんが、胸を叩く音の周波数が身体の大きさに比例することはその通りだと思います。

私もゴリラは、拳を握って胸を叩くと思っていました。以下は、マウンテンゴリラの胸叩きです。

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