CGRPを標的とした片頭痛治療薬(抗体医薬)の作用機序比較…けっこう違うことが明らかに

CGRPを標的とした片頭痛治療薬の作用機序比較
以下は、記事の抜粋です。


カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)を標的とした片頭痛治療薬の臨床効果は、片頭痛の病因に対し重要な役割を果たしている。3つのCGRPリガンドに対する抗体(fremanezumab、ガルカネズマブ、eptinezumab)とCGRP受容体に対する抗体(erenumab)は、米国において片頭痛予防に承認された薬剤である。また、2つの小分子CGRP受容体拮抗薬(ubrogepant、rimegepant)は、急性期片頭痛の治療薬として承認されている。

Teva BiologicsのMinoti Bhakta氏らは、CGRPリガンド抗体(fremanezumab)、CGRP受容体抗体(erenumab)、小分子CGRP受容体拮抗薬(telcagepant)の潜在的な違いを評価するため、結合能、機能、イメージングアッセイの組み合わせを用いた。

主な結果は以下のとおり。

・erenumabやtelcagepantは、古典的な(canonical)ヒトCGRP受容体においてCGRP、アドレノメデュリン、インテルメジンのcAMPシグナル伝達と拮抗する。
・fremanezumabは、ヒトCGRP受容体においてCGRP誘導cAMPシグナル伝達のみと拮抗する。
・erenumabは、古典的なヒトCGRP受容体と結合し、内在化するだけでなく、ヒトAMY1受容体に対しても同様に作用する。
・erenumabやtelcagepantは、アミリン誘発性cAMPシグナル伝達と拮抗したが、fremanezumabでは認められなかった。

著者らは「片頭痛の予防や急性期の治療に対するCGRPを標的とした薬剤を用いた治療では、標的部位により薬剤間で作用機序が異なる。この異なるメカニズムは、片頭痛患者に対する有効性、安全性、忍容性に影響を及ぼす可能性がある」としている。


元論文のタイトルは、”Migraine therapeutics differentially modulate the CGRP pathway(片頭痛治療薬は薬によってCGRP経路への影響が異なる)”です(論文をみる)。

論文の結果を信じると、CGRP経路を特異的に阻害するのはfremanezumabだけということになります。抗体医薬はどれも同じような効果かと思ってたので驚きました。

特定の受容体特異的に働くものが必ずしも臨床的に効果が優れているというわけではないので、作用機序の違いが臨床効果にどう反映するのか知りたいところです。今後はいろいろな抗体医薬についてこのような解析が行われるのかもしれません。

日本ではCGRP経路に働く片頭痛薬の承認はアメリカよりも数年遅れています。以下は、今年の1月13日の記事に掲載されていた図です。図の中に書かれているように、今年の1月22日、片頭痛発作治療薬ガルカネズマブ(商品名エムガルティ皮下注120mgオートインジェクター、同皮下注120mgシリンジ)の製造販売が承認されました。適応は「片頭痛発作の発症抑制」、用法用量は「成人、初回240mgを皮下注。以降は1カ月間隔で120mg皮下注」となっています。


片頭痛は、片側性で拍動性の数時間~数日続く頭痛で、悪心、嘔吐、光過敏などを伴うことが多く、日本での有病率は8.4%、20~50歳代の勤労世代の女性に多く見られます。

急性期には、主にアセトアミノフェンや非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)が用いられ、セロトニン受容体(5-HT1B/1D)作動薬であるトリプタン系薬も使用されています。一方、予防には、バルプロ酸ナトリウムなどの抗てんかん薬、プロプラノロールなどのβ遮断薬、アミトリプチリンなどの抗うつ薬が使用されていますが、副作用も多くあまり使用されていません。

CGRPは、三叉神経終末から放出され、疼痛の原因となる血管拡張や炎症メディエーターの産生および分泌の促進などに関与しているとされており、CGRP経路に働く薬物は「片頭痛の予防」の適応で欧米を中心に世界40カ国以上で承認されています。

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