アンチエイジング効果があると売られている(NMN、ニコチンアミドモノヌクレオチド)についての良い記事を紹介します。

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アンチエイジング効果があると売られている(NMN、ニコチンアミドモノヌクレオチド)についての記事です。読んだら飲む気が無くなると思います。以下は、抜粋です。


アンチエイジングの効果があるなどとして、サプリメントの製造販売業者などが商品として販売しています。また、若返りだけでなく、糖尿病などさまざまな疾患に効果があるとも主張されています。もし本当なら少々お高くても摂取してみたいところですが、現時点で入手できる情報で判断する限りでは、私なら摂取しませんし、家族にも勧めません。無料でも嫌です。

摂取されたNMNは体内でNAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)に変化します。NADはさまざまな代謝に関わる重要な補酵素で、その働きの一つに老化に関わる遺伝子であるサーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)の活性化があります。

加齢や特定の病気で体内のNADが減少することが知られており、何らかの方法でNADを増やしてやれば抗老化の作用や病気の予防・治療ができるかもしれない、というのは妥当な仮説です。

動物実験では期待できる結果が出ています。しかし、動物実験では有望でも、ヒトで試してみたらそうでもなかったという事例は数多くあります。「ヒト試験は行われている」という反論が予想できますが、おそらくそれは、NMNの単回投与での安全性評価のことでしょう。10人の健康な成人男性を対象にNMNを1回だけ経口投与し有害な効果を観察できなかったという研究です。業者のサイトでは「安全に投与できることをヒトで確認」などと書いてありましたが、女性や病気の人に対して安全かどうかはわかりません。

サプリメントなら10人に対して単回投与しかしていなくても「安全に投与できることをヒトで確認」なんて書けてしまいます。このようなことを前提にすると、この売り文句がいかに頼りないかがお分かりいただけると思います。しかも、あくまで主目的は安全性の確認であって、効果を確認する研究ではありません。私が調べた範囲内では、NMNの効果を検証する臨床試験は発表されていませんし、そもそも予定すらあまりない、という状態です。ヒトにおける長期投与の安全性が確認されていませんので当たり前です。

サプリメントを売りたい人たちは言及しませんが、NADを増加させるとがんを悪化させる可能性が指摘されています。がん細胞はエネルギーを酸素に頼らない代謝経路に依存し、NADはその代謝経路でも重要な役割を果たしています。NADを合成する酵素を阻害するとがん細胞の増殖が抑制されます。がん治療薬の候補として、がん細胞のNADを枯渇させる物質が研究されているぐらいです。

NMNサプリメントを勧めているのは非専門家で、多くはサプリメントの販売から利益を得られる人たちです。金銭的な利益がからむと情報提供もゆがみます。よい結果が得られた動物実験やごく少人数の安全性試験を強調し、潜在的なリスクには触れません。

NMNについて分かってることはおおよそ以上になります。効果も害も不明確なわりに高価なため、現状ではNMNサプリメントをおすすめしません。お金さえ出せば楽に健康になれるという、うまい話はそうそうあるものではないです。業者の売り文句にだまされないようにしましょう。


ヒトでの長期投与の安全性やアンチエイジング効果を確認したエビデンスはないことは良くわかりました。ある種のがん細胞もNADに依存して生きているということも事実のようです。私なら飲みません。

 

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