現役医師が実名で証言する「アブない薬」~売れている薬の半分以上は、飲み続けないほうがいい:薬漬け社会のタブーに切り込む
記事に載っている以下の表をみると、プラビックス®(クロピドクレル、clopidogrel)は「飲まないほうがいい薬」のトップのように思えますが、本当でしょうか?
以下は、上の記事でのプラビックス®に関する記述の全文です。
ARBの他にも「すごく売れているけれども、効果のほどは未知数」という薬は多い。
たとえば、血液をサラサラにする抗血栓薬のプラビックスは日本で一番の売上高を誇る。しかし、岡田氏はその効果は限定的だと見ている。
「プラビックスは血小板を集まりにくくする抗血小板剤で、風邪薬などで用いられてきたアスピリンの仲間です。心筋梗塞のステント治療後には有効な薬ですが、脳卒中に効果があるかどうかは白黒両方あって、いまだにはっきりしません。
学会のガイドラインは『隠れ脳梗塞といわれる自覚症状のない小さい梗塞の進展予防にいいかもしれない』と非常に曖昧な書き方をしていますが、その効果には疑念を持たざるを得ません」
学会のガイドラインには「隠れ脳梗塞」という項目はないので、どの記述を岡田氏が指摘しているのかはわかりませんが、2009年の「日本脳卒中治療ガイドライン」の「4-2.再発予防のための抗血小板療法(1)非心原性脳梗塞(アテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞など)」には、以下のように書かれています(2015年版は公開されていないので、2009年版を引用しますが、この項目についての大きな改訂はないです。)
推 奨
1. 非心原性脳梗塞の再発予防には、抗血小板薬の投与が推奨される(グレードA)。
2. 現段階で非心原性脳梗塞の再発予防上、最も有効な抗血小板療法(本邦で使用可
能なもの)はアスピリン75~150mg/日、クロピドグレル75mg/日(以上、グ
レードA)、シロスタゾール200mg/日、チクロピジン200mg/日(以上、グレー
ドB)である。
3. 非心原性脳梗塞のうち、ラクナ梗塞の再発予防にも抗血小板薬の使用が奨めら
れる(グレードB)。ただし十分な血圧のコントロールを行う必要がある。
ひょっとして、上の記事の岡田氏は、ラクナ梗塞のことを「隠れ脳梗塞」としてコメントされているのかもしれません。しかし、「グレードA」の推奨を無視して、「脳卒中に効果があるかどうかは白黒両方あって、いまだにはっきりしません。」と断言されています。また、「現代」の記者は、岡田氏の「心筋梗塞のステント治療後には有効な薬です」という発言を無視して、プラビックス®(クロピドクレル)を「飲まないほうがよい薬」のトップにあげています。DPP-4阻害薬などについては、良く書けている部分もあるので残念な記事だと思います。
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