Go To トラベル検証論文を検証する記事

Go To トラベル検証論文を検証する
会員登録(無料)の必要な記事です。Anzai A, Nishiura H. “Go To Travel” Campaign and Travel-Associated Coronavirus Disease 2019 Cases: A Descriptive Analysis, July-August 2020. Journal of Clinical Medicine. 2021 Jan;10(3):398.の検証です。以下は、記事の抜粋です。


Go Toトラベル以前に発生した感染と、それ以後の感染の罹患率比が計算された(incidence rate ratio;IRR)。

コントロール群は6月22日〜7月21日(ピリオド1a)。7月15〜19日はピリオド1b、キャンペーン前期間と設定された。Go Toの始まった連休である7月22〜26日を介入効果の出たピリオド2と設定した。それ以降、お盆休み期間の8月8日〜8月31日はピリオド3と定義された。Go Toキャンペーンは予算がなくなったときに停止されるので、クーポン締め切りの8月31日までが吟味された。

この観察期間中に3,978例のCOVID-19が24の自治体で確定された。男性が57.3%、平均年齢は42.6歳だった。3,060例(76.9%)で症状のあることが確認された。うち7割の2,150例は軽症だった。無症状例は891例だった。

県をまたぐ旅行歴、あるいは県をまたぐ旅行歴のある人物との濃厚接触歴は817例と、20%超に認められた。旅行関連症例の平均年齢は36.2歳だった。COVID-19確定例における旅行関連感染は、7月は482例(23.2%)、8月は289例(18.1%)だった。

発症日を根拠として計算した感染について、ピリオド1aと2(介入前後)を比較すると、IRR(incidence rate ratio、感染の罹患率比)は3.31(95%CI 2.67〜4.11)だった。感染確定日を根拠として計算した感染では、IRRは2.98(同2.43〜3.65)だった。観光目的の旅行に限定すると、IRRはそれぞれ6.80(同4.16〜11.11)と5.66(同3.52〜9.10)だった。

かつて誰かが言ったように「Go Toを使って感染した人(国土交通省に自己申告した人)は○人しかいない。Go Toが感染を広げたというエビデンスはない」といった、「エビデンス」という言葉を軽薄に誤用するような与太話より、今回の論文の方がずっと説得力を持つ。現段階では、本論文がGo Toに関する「正解」に一番近づいた検討だ。よって、この論文に反論したいのであれば、より質の高いデータを用いたベターな研究が必要になる、ということなのだ。


記事にも書かれていますが、ヒトの移動がコロナの感染を拡大するであろうことは、容易に推測できるし、海外のデータからも容易に推測できますが、「海外ではそうでも、日本のGo Toではそうとは限らない」という批判をする人に対しては、日本のデータを使って調べたところ、観光目的の旅行で感染の罹患率が5~6倍だったという結論は重要だと思います。「Go Toとは全く無関係に、みんなが感染リスクを無視して旅行に行きたくなった(たまたま、ピリオド2のときに)」わけではないでしょう。これからは、Go Toが感染を広げたというかなり強いエビデンスがあると考えましょう。

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