アクテムラ、日本国内COVID-19肺炎対象の第3相臨床試験開始へ

アクテムラ、日本国内COVID-19肺炎対象のP3試験開始へ
コロナウイルス感染者が重症化するのは、感染によって引き起こされたサイトカインストーム(感染症や薬剤投与などの原因により、血中サイトカイン(IL-1,IL-6,TNF-αなど)の異常上昇が起こり、その作用が全身に及ぶ結果、好中球の活性化、血液凝固機構活性化、血管拡張などを介して、ショック・播種性血管内凝固症候群(DIC)・多臓器不全にまで進行する。この状態をサイトカインストーム(cytokine storm)という。)によるものとする説があります。アクテムラ(一般名:トシリズマブ)は、ヒト化抗ヒトIL-6受容体モノクローナル抗体で、IL-6の作用を抑制し免疫抑制効果を示す分子標的治療薬です。 関節リウマチなどの治療に用いられます。以下は、記事の抜粋です。


4月8日、中外製薬は、ヒト化抗ヒトIL-6受容体モノクローナル抗体(一般名:トシリズマブ、商品名:アクテムラ)での、日本国内における重症新型コロナウイルス肺炎(COVID-19肺炎)を対象とした国内第III相臨床試験の実施について発表した。

海外では、米国、カナダおよび欧州を含む世界における重症COVID-19肺炎の入院患者約330例を対象として、プラセボと標準的な医療措置の併用と比較する無作為化二重盲検プラセボ対照第III相臨床試験(COVACTA試験)の実施をロシュ社が発表している。

アクテムラは炎症性サイトカインの一種であるIL-6の作用を阻害する働きを持つ、中外製薬が創製した国産初の抗体医薬品。国内において、点滴静注製剤は6つの適応症(キャッスルマン病、関節リウマチ、全身型若年性特発性関節炎、多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎、腫瘍特異的T細胞輸注療法に伴うサイトカイン放出症候群、成人スチル病)で、皮下注製剤では3つの適応症(関節リウマチ、高安動脈炎、巨細胞性動脈炎)で承認を取得している。


アクテムラ(一般名:トシリズマブ)は、中国などでの使用が始まり、20人中19人回復したとする報告もあります。また、カナダのグループは、IL-6の値が高いと重症化する率が高いこと、アクテムラが重症の改善に有効とみられるとする論文を査読前に公表しています。日本でも、はびきの医療センターが、重症の肺炎患者7人に使ったところ、2人は悪化が抑えられなかったが、5人は改善したとされています。

重症者の死亡の原因が、主にサイトカインストームによるものだとすると、抗ウイルス薬では手遅れになるので、抗サイトカイン薬が有効である可能性は高いと思います。おそらく、重症で血中IL-6が高値の患者に対して用いられるでしょう。既に関節リウマチに対して承認されている薬だし、第3相試験ですので、良い結果であればすぐに使われることになると思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました