日本人CMLのイマチニブ治療でCMRが24カ月以上あれば投薬中止しても無再発生存率が高い可能性
以下は、記事の抜粋です。
日本人の慢性骨髄性白血病(CML)で分子遺伝学的完全寛解(CMR)が24カ月以上あれば、イマチニブの投与を中断しても無再発生存率が高い可能性が明らかとなった。今年度の日本血液学会で、秋田大学の高橋直人氏によって発表された。
イマチニブ治療を少なくとも6カ月以上中止した患者の特徴を調べる目的。イマチニブの投薬を受けたCML患者3242人のうち、1.5%にあたる50人がイマチニブによる治療を少なくとも6カ月間中止しており、そのうち43人について解析が行われた。
43人は全て慢性期であり、中止時の年齢中央値は57歳だった。中止理由は副作用が41%、患者希望が33%だった。投薬期間中央値は45.2カ月。CMRまでの期間の中央値は12.5カ月だった。中止期間の中央値は23カ月。19人(44%)の患者が再発したが、17人の患者はチロシンキナーゼ阻害剤の再投与を受け全員が回復、全員が生存していた。イマチニブを中止してからのCMR率は約80カ月時点で47%だった。
CMRの期間が24カ月以上あった患者では無再発生存率78%で、24カ月未満の患者は15%で有意な差があった。
慢性骨髄性白血病では、以下のような3段階の寛解があります。
【血液学的完全寛解】採血をして、白血球・血小板の数を測定します。白血球数や血小板数が正常値となり、脾腫などの症状が消失した場合を「血液学的完全寛解(CHR)」といいます。
【細胞遺伝学的完全寛解】骨髄液を用いて染色体検査やFISH検査を行い、20~100個の骨髄細胞のうち、何個の細胞がフィラデルフィア染色体を持っているかを調べます。フィラデルフィア染色体を持つ白血病細胞が消失した場合を「細胞遺伝学的完全寛解(CCyR)」といいます。
【分子遺伝学的完全寛解】10万~100万個の細胞(通常は末梢血を用います)について、bcr/abl融合遺伝子を持つ白血病細胞がまだ残っているかどうかを調べます。具体的には、bcr/abl融合遺伝子が、日常臨床のレベルで最も精密な検査だと考えられている「RQ-PCR法」もしくは「nested PCR法」検出されなくなった場合を「分子遺伝学的完全寛解(CMR)」といいます。(以上は、がんプロ.comより改変)
イマチニブを発売しているノバルティスが運営している「慢性骨髄性白血病の疾患情報サイト―CMLステーション」では分子遺伝学的完全寛解について、「これはBCR-ABL遺伝子を持つ白血病細胞が全くなくなったことを意味するのではなく、現時点での検査感度以下であることを示すものであり、お薬の中止ができることを意味するものではありません。」と書かれています(サイトをみる)。」
イマチニブ(グリベック®)は、1錠あたり3,200円強です。1日4錠服用すると自己負担3割として、1日あたり4,000円弱。1ヶ月では、約116,000円ですが、高額療養費補助制度の適用を受けると、毎月約44,400円の自己負担になります。私は、上の記事を読むまで、この負担が死ぬまで続くものだと思っていました。
秋田大学の発表が世界で最初なのかどうかはわかりませんが、イマチニブを投薬中止しても無再発生存率が高い可能性というのは、すばらしいことだと思います。大規模試験での確認が待たれます。
コメント