セジデム・ストラテジックデータ株式会社ユート・ブレーン事業部が、恒例の「世界の医薬品メーカーランキング2010-決算期版」をまとめました。単位が百万ドルでわかりにくいのですが、1位のファイザーの売上高は585億ドル(約4兆7000億円)です。
セジデムの解説によると、ファイザーとメルクの売上が伸びているようにみえるのは、それぞれ買収したワイスとシェリング・プラウの売上が加わったからだそうです。
ロシュの売上減は、タミフル®(オセルタミビル)の売上が20億ドル以上減ったためのようです。特許切れも売上減の原因です。アステラスの排尿障害治療薬ハルナール®(タムスロシン)、エーザイのアルツハイマー病治療薬アリセプト®(ドネペジル)などです。一方、ジェネリックメーカーのテバ製薬工業が売上を伸ばし、ランクをあげています。2011年には、ファイザーの高脂血症治療薬リピトール®(アトルバスタチン)の特許が切れます。
ジェネリック増の影響で、欧米市場の伸びが抑えられているため、大手メーカーは新興国での売上増を図っていますが、世界の医薬品市場は5%前後の伸びに留まっています。ドル安を考えれば、実際の伸びはもっと低いかもしれません。
このような状況をうけて、大手メーカーはR&D費を減らそうとしています。2010年に94億ドルを使ったファイザーは、2012年には65~70億ドルに減らすと発表しており、研究者3500人以上を減らす計画です。特に臨床開発部門を大幅に減らす予定で、大手CROの2社と提携を結んでいます。MR数も減少が続く見込みだそうです。
医薬品メーカーの世界的な成長時代は終わって『大転換期』を迎えているそうです。テバのR&D費をみるとゾッとしますが、これが世の中の流れなのかもしれません。
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