英国で急増した新型コロナウイルス変異種 VUI – 202012/01(N501Y)について

より感染しやすい新型コロナウイルス変異種が英国で急増
以下は、記事の抜粋です。


新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症(COVID-19)の増加を受けて英国の保健行政組織が調べたところ、新たなSARS-CoV-2変異体(VUI – 202012/01)が急速に広まっていることが判明し、その変異体の感染例1,108人が先週12月13日までに確認されました(報告をみる)。

1週間後の記者会見でBoris Johnson首相はロンドンやイングランド南部/東部でのCOVID-19急増は13日発表の新たな変異種のせいらしいとの見解を示しました。変異種感染は重病や死に至りやすいという謂われはいまのところないが、他のSARS-CoV-2感染よりも感染しやすいと示唆されています。

いまのところ新しい変異体の重症度、抗体反応、ワクチン効果への影響は示唆されていません。

現在、世界で最も幅を利かせる先着のSARS-CoV-2変異種は、スパイクタンパク質にD614G(614番目のアスパラギン酸がグリシンに変異)という変異を有し、新らしいVUI – 202012/01は、スパイクタンパク質にN501Y(501番目のアスパラギンがチロシンに変異)という変異を有します。

D614G変異ウイルスもVUI – 202012/01と同様に感染を広めやすいらしいことがNature誌に最近発表された培養実験やハムスター実験で裏付けられています(論文をみる)。

現在普及しているCOVID-19予防ワクチンは野生型ウイルス(614Dウイルス)を起源としていますが、このワクチンを免疫して得られた血清は幸いにも614G変異ウイルスの細胞侵入や複製を防ぐ中和活性を発揮し、D614G変異は現在のワクチンの守備範囲にあると示唆されています。新たな変異種VUI – 202012/01のワクチン等の効果への影響は現在研究が進行中とのことです。


米国CDCの説明によると、英国で発見されたこの変異ウイルスのスパイクタンパク質はACE2とよばれるヒトの受容体との親和性が強いそうです。この高い親和性と、このウイルスの出現と同時に認められた感染者数の増加から、「7割感染しやすい」という理論的な推定がされています。

日本を含むいくつかの国がこの変異ウイルスの「水際対策」としてイギリスからの入国を禁止しました。この対策は有効でしょうか?このウイルスは非常に頻繁に変異をすることが知られていて、2週間に1つの変異をすると言われています。また、南アフリカでも同じN501Yが見つかっていますが、イギリスの株とは独立して変異したと考えられています。また、先行するD614G変異ウイルスもあっという間に野生型ウイルスを押しのけてもっとも多い流行株になりました。これらのことを考えると、いちいち新しい変異株に対して水際対策をするのは無駄だと思います。オリンピックをすれば世界中からヒトが集まるので、もっと怖い株が日本に入ってくる可能性もあります。官房長官はドヤ顔で否定していましたが、もう既に日本に入っている可能性もあります。

幸い、認可されたファイザーとモデルナのmRNAワクチンは、変異を想定して開発されていて、この程度の変異であれば中和できると予想されています。また、仮に変異種に現在のワクチンが効かなかったとしても、「理論的には、6週間で変異種に対応できるワクチンの開発は可能だ」とワクチンの根本的な部分を変えることなく、対応ができると開発者も話しています(記事をみる)。

移動と接触を抑制すれば、どんなに感染力が強いウイルスにも「打ち勝つ」ことができますが、移動と接触を暗に推奨する政府が治める国が「打ち勝てる」かどうかは怪しいと思います。

 

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