シクレソニド(オルベスコ®)有効性なし 患者分析、肺炎悪化の恐れ

シクレソニド有効性なし 患者分析、肺炎悪化の恐れ
以下は、記事の抜粋です。


新型コロナウイルス感染症の治療薬候補として期待されていた気管支ぜんそく治療薬で吸入ステロイドの「シクレソニド(商品名オルベスコ)」について、国立国際医療研究センターは23日、軽症患者を対象とした臨床研究で有効性は示されなかったと発表した。結果からは肺炎を悪化させる恐れがみられ、使用は推奨できないとしている。

臨床研究は全国の21医療機関で軽症患者約90人を対象に実施。解熱鎮痛剤の投与などの対症療法だけを行った場合に比べ、シクレソニドを投与した患者は肺炎が悪化する傾向がみられた。


以下は、国立国際医療研究センターが発表した非盲検ランダム化第Ⅱ相試験報告からの抜粋です。


肺炎増悪率は、シクレソニド吸入剤投与群41例中16例(39%)、対症療法群48例中9例(19%)であり[リスク差 0.20(90%信頼区間 0.05-0.36)、リスク比 2.08(90%信頼区間 1.15-3.75), p=0.057]、p値は両側有意水準10%を下回り、対症療法群と比べてシクレソニド吸入剤投与群の方が有意に肺炎増悪が多いと結論されます。


シクレソニド(商品名オルベスコ)は、今年の3月に神奈川県立足柄上病院から3件の症例報告があり、COVID-19早期での吸入が有効だとされ、最近までアビガンとともに多くのCOVID-19症例に使われていました。軽症患者で肺炎をかえって悪化させるとは、非常に残念な結果です。やはり、エビデンスのない薬を多くの患者に使うのはダメですね。アビガンの見送りは正しいと思います。

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