感染研・脇田氏「COVID-19にメフロキンが効く可能性」
先日は、同じ講演からアビガン®(ファビピラビル)が抗ウイルス活性を示さなかったという部分を紹介しましたが、今回は新しいCOVID-19治療薬の部分を紹介します。
脇田氏らの研究グループは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する抗ウイルス活性を持つ薬剤の探索を行った。既に別の疾患で承認されている薬剤について、COVID-19に対する治療薬として使用できるかどうかを確認する手法を用いた。同手法は短期間で薬効を評価でき、また開発費も安いというメリットがある。
SARS-CoV-2を感染させた細胞に48時間、化合物を投与し、細胞の生存率を観察することで、抗ウイルス活性を調べた。その結果、抗HIV薬であるロピナビルとネルフィナビル、免疫抑制薬であるラパマイシン、ステロイド薬であるロテプレドノール、そして抗白血球減少症薬であるセファランチンが強い抗ウイルス活性を示すことが判明した。一方、ファビピラビルは抗ウイルス活性を示さなかったという。
次に、これらの薬剤と、既に治療薬候補として知られるレムデシビルやシクレソニド、ヒドロキシクロロキンとのウイルス抑制活性を比較した。その結果、レムデシビルのIC50が1.8μMだったのに対し、ネルフィナビルが0.77μM、セファランチンが0.35μMと、非常に強い活性を示すことが判明した。ネルフィナビルはSARS-CoV-2の複製に必要なメインプロテアーゼを阻害する。一方、セファランチンは、ウイルスと細胞の吸着に必須のウイルススパイクタンパク質に結合することにより、細胞侵入を阻害することで薬効を示すと考えられている。
同様にスクリーニングを行った結果、抗マラリア薬である「メフロキン」というクロロキンの誘導体が強い抗ウイルス効果を示すことを突き止めた。
これまでに蓄積された薬物動態のデータによると、メフロキンの経口投与による半減期は447時間、つまり、一度服用すれば2週間以上効果が持続するという。また、研究グループは現在、日本で承認されている薬剤ほぼ全てである3060化合物のスクリーニングを行っている。「これらの薬剤から、さらに有望な候補薬を見出しつつある」とし、講演を締めくくった。
実際に臨床試験が実施されていると書かれているのはネルフィナビルとセファランチンだけですが、レムでシビルよりも効果があるCOVID-19治療薬候補は新作も含めてこれからどんどん出てくると思います。期待しましょう。アビガン®(ファビピラビル)はダメだとして、まだ結論の出ていない既出の候補薬、シクレソニドやイベルメクチンの現状はどうなんでしょう?
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