潰瘍性大腸炎の再燃期ってどんな感じ?という話

潰瘍性大腸炎の再燃期ってどんな感じ?という話
辞任を表明した安倍総理と同じ潰瘍性大腸炎を持病として持つ方が書いたと思われる記事です。病気についての記載には問題がないと思いますので、以下に抜粋を紹介します。


潰瘍性大腸炎とは?
大腸に潰瘍やびらんができて、腹がクソ痛くなり、ケツから血がドバドバ出て便器が真っ赤に染まる病気です。基本的に根治しない病気で、いったん発症したら長年付き合っていく必要があります。原因も治療方法もよくわかってないので国の指定難病ということになってます。

この病気のミソは、多くが寛解と再燃を繰り返すところです。寛解しているときは、普通の人と何も変わりません。お腹も痛くならないし、便も正常です。食べ物もなんでも食べられます。お酒も飲めます。ハードな運動もできます。なので仕事もできます。多くの潰瘍性大腸炎持ちの方が役所や企業で働きつつ生活しています。

ただし、潰瘍性大腸炎は多くの場合再燃を繰り返します。良くなったり悪くなったりを繰り返すのです。これを再燃寛解型といい、潰瘍性大腸炎患者の約半数がこの型です。自分もこの型で、安倍総理も報道を見る限りこの型だと思われます。

再燃のトリガーは、よくわかっていません。特に生活に何の問題がなくともいきなり再燃したりもします。数か月~数年なんの症状もなかったのに、突如激しい腹痛に襲われ便器が血に染まるというイベントは潰瘍性大腸炎あるあるであり、「あぁ…またか…」という絶望を潰瘍性大腸炎当事者に叩き込んでくれます。

再燃期の潰瘍性大腸炎
潰瘍性大腸炎が再燃するとどうなるか。一言で表すと、死ぬほど激しい腹痛に連続的に襲われ続けることになります。骨折したり親知らずを抜いたりと色々と人生の中で怪我や病気に直面してきましたが、再燃期の潰瘍性大腸炎の痛みが自分の人生の中では断トツでナンバーワンです。

安倍総理は血球成分除去療法を受けているとのことですので、おそらく中等症あたりでしょう。「中等症」と言っても、このレベルになると普通は即座に入院します。「重症」になれば大腸全摘出ですから、大腸を残した状態では最も重い状態と言えるかもしれません。

この時期になると、鎮痛剤もゴツいのを使い始めます。自分はペンタジンというオピオイド系鎮痛薬を定期的に静脈注射されていました。これはいわゆる医療麻薬に類する鎮痛剤で、がん疼痛などに使用されるお薬です。「モルヒネよりちょっと弱い」くらいの強さの薬と言えば伝わるでしょうか。まぁとにかく、麻薬です。潰瘍性大腸炎の中等症だと、このレベルの薬が必要な痛みが断続的に発生します。

首相はお仕事の関係上、もう少し弱い薬で誤魔化してるのかな?と個人的には思います。静脈注射ではアセリオというペンタジンよりも弱い薬があり、これも自分はよく使われてたんですが、まぁこれが効かないんですよね。もし安倍総理が中等症の痛みをアセリオのような効かない薬で誤魔化してるのだとしたら、なんというか、気の毒だなぁ…と思ってしまいます。「治療に集中する」というのは、「酩酊作用のある強い鎮痛剤を使えるようになる」ことでもあるのですよね。とにかく本当に痛みがひどい病気ですので、勇退されてしっかり疼痛をケアできる環境に置かれることは、少なくとも安倍総理のQOLという意味では良い事なんじゃないかなと思っております。一日も早い寛解導入をお祈りしております。


日本の潰瘍性大腸炎の患者数は166,060人(平成25年度)、人口10万人あたり約100人(1000人に1人)です。一口に潰瘍性大腸炎の症状と言っても軽症と重症では、下の図のように大きく違います。

それぞれの比率は、軽症32%、中等症44%、重症17%ぐらいです。死亡率は、重症例5~10%、中等症1~2%、軽症例0%です。難病として医療費助成の対象となるのは、原則として「中等症」以上です。

軽症及び中等症例では5-ASA製薬(メサラジン)を、無効例や重症例で副腎皮質ステロイド薬にて寛解導入を行います。寛解維持には5-ASA製薬(メサラジン)、タクロリムスなどの免疫調節薬も使われます。ステロイド薬無効例では免疫抑制薬、インフリキシマブなどの抗TNFα抗体製剤、あるいは血球成分除去療法が行われます。内科的治療に反応せず改善がみられない、あるいは症状の増悪がみられる場合には大腸全摘出などの手術適応を検討します。

最近は5-ASA製薬(メサラジン)のドラッグデリバリーシステム(drug delivery system:DDS、体内での薬物分布を制御することで、薬物の効果を最大限に高め、副作用を最小限に抑えることを目的とした技術)が進歩したため、軽症者のコントロールは以前と比べるとかなり良好になっています。政治家としての評価は別として、安倍氏の一日も早い寛解導入をお祈りしております。

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