ACE阻害薬とARB、COVID-19死亡・感染リスクと関連せず

ACE阻害薬とARB、COVID-19死亡・感染リスクと関連せず/JAMA
以下は、記事の抜粋です。


ACE阻害薬/ARBの使用と、高血圧症患者における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の診断率、またはCOVID-19と診断された患者における死亡率や重症化との間に、有意な関連は認められなかった。

コペンハーゲン大学病院のEmil L. Fosbol氏らが、デンマークの全国登録を用いた後ろ向きコホート研究の結果を報告した。ACE阻害薬/ARBは、新型コロナウイルスに対する感受性を高め、ウイルスの機能的受容体であるアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)の発現が亢進することによりCOVID-19の予後が悪化するという仮説があったが、今回の結果から著者は「COVID-19のパンデミック下で臨床的に示唆されているACE阻害薬/ARBの投与中止は、支持されない」とまとめている。

COVID-19患者の予後を調査する目的で、2020年2月1日以降にCOVID-19と診断された患者を特定し、診断日から2020年5月4日まで追跡した。主要評価項目は死亡、副次評価項目は死亡または重症COVID-19の複合アウトカムで、ACE阻害薬/ARB使用群と非使用群を比較した。使用群は、診断日前6ヵ月間にACE阻害薬/ARBが1回以上処方された患者と定義した。

また、COVID-19の感受性を調査する目的で、デンマークのすべての高血圧症患者を2020年2月1日~5月4日まで追跡し、コホート内症例対照研究を行った。主要評価項目はCOVID-19の診断で、COVID-19との関連性のACE阻害薬/ARBと他の降圧薬で比較した。

後ろ向きコホート研究には、COVID-19患者4,480例が組み込まれた(年齢中央値54.7歳、男性47.9%)。1例目の診断日は2020年2月22日、最後の症例は2020年5月4日、ACE阻害薬/ARB使用群は895例(20.0%)、非使用群は3,585例(80.0%)であった。

30日死亡率は、ACE阻害薬/ARB群18.1%、非使用群7.3%であり、ACE阻害薬/ARB群で高かったものの有意な関連は認められなかった(年齢、性別、病歴で補正したハザード比[HR]:0.83、95%信頼区間[CI]:0.67~1.03)。死亡または重症COVID-19の30日発生率は、ACE阻害薬/ARB群31.9%、非使用群14.2%であった(補正後HR:1.04、95%CI:0.89~1.23)。

コホート内症例対照研究では、高血圧症の既往があるCOVID-19患者571例(年齢中央値73.9歳、男性54.3%)(COVID-19患者群)と、年齢と性別をマッチさせたCOVID-19を有していない高血圧症患者5,710例(対照群)を比較した。ACE阻害薬/ARBの使用率はCOVID-19患者群で86.5%、対照群は85.4%であり、COVID-19罹患率との有意な関連は認められなかった(補正後HR:1.05、95%CI:0.80~1.36)。


元論文のタイトルは、”Association of Angiotensin-Converting Enzyme Inhibitor or Angiotensin Receptor Blocker Use With COVID-19 Diagnosis and Mortality(アンジオテンシン変換酵素阻害薬またはアンジオテンシン受容体遮断薬の使用とCOVID-19診断および死亡率との関連性)”です(論文をみる)。

私自身も飲んでいる薬なので気にしている話題なので、JAMAに掲載された論文でACE阻害薬あるいはARBの服用がCOVID-19による死亡・感染リスクと関連しないと報告されたことは嬉しいのですが、いくつかまだすっきりしない点があります。

上の記事に書かれているように、「死亡または重症COVID-19の30日発生率は、ACE阻害薬/ARB群31.9%、非使用群14.2%であった」と2倍以上の違いがあるのに、補正後のハザード比が1.04と低いことです。おそらく、使用群と非使用群の患者の間に重症度などの違いがあると思われます。また、日本の場合、欧米と比べてARBの使用頻度が高いとされているので、この論文の結果がそのまま日本に当てはまるかどうかははっきりしません。

いずれにしても、心配して薬を変更するほどの違いはないということだと思います。

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