レジオネラ菌のDrrA蛋白は膜輸送関連低分子量GTP結合タンパク質Rab1bをAMP化する

The Legionella Effector Protein DrrA AMPylates the Membrane Traffic Regulator Rab1b

以下は、論文の要約です。


レジオネラ感染症の過程で、Legionella pneumophilaは、菌を含む液胞の細胞質側の面に、低分子量GTP結合タンパク質Rab1をリクルートする。このようなメカニズムによって、感染した細胞の細胞内膜輸送系を障害する。

この過程には、レジオネラ菌のDrrAというタンパク質のもつ、Rab1のGDPをGTPへの交換を促進するGEF (guanine nucleotide exchange factor)活性が重要である。

今回研究者らは、DrrAのN末端側にRab1bのswitch II領域にある77番目のチロシン残基をAMP化(AMPylation)する活性を発見した。switch II領域のAMP化によって、GTPaseが接近できなくなり、Rab1bが恒常的に活性化される。


Rabは、真核細胞内での膜輸送(小胞輸送)で重要な働きをする低分子量GTP結合タンパク質で、Rab1やRab7など、ヒトでは約70種類のRabファミリータンパク質の存在が知られています。他の低分子量GTP結合タンパク質と同様、GEFによって活性化され、GTP分解酵素(GTPase)によって不活性化されます。

さて、タンパク質の修飾には、リン酸化、アセチル化、ユビキチン化、ニトロ化などいろいろありますが、この論文を読むまでは、AMP化(アデノシン一リン酸(AMP)の付加)というものがあることを知りませんでした。

調べたところ、これまでに知られているのは、腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolyticus)のVopSというエフェクタータンパク質が、RhoをAMP化してRhoの活性を阻害し、細胞のアクチン重合を阻害するという話です(論文をみる)。Rhoも低分子量GTP結合タンパク質ですが、細胞骨格を制御することが知られています。

どちらも、病原菌のもつエフェクター・タンパク質がAMP化活性をもっていて、感染した細胞の機能を変化させるという話です。何となくですが、ADPリボシル化と似ていてマイナーな感じがします。

全然上の話と関係ないですが、おもしろい漫画です(cat versus humanより)。

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