海生爬虫類:首長竜は恒温動物? 化石から体温推計--仏など研究チーム
以下は、記事の抜粋です。
ジュラ紀~白亜紀(約2億~6500万年前)の海で繁栄した首長竜や魚竜などの海生爬虫類は、水温に関係なく体温を一定に保てる恒温動物とみられることが、フランスなどのチームの研究で明らかになった。6月11日のサイエンス誌に発表した。海生爬虫類は長距離を速いスピードで泳ぎ回っていた可能性があるという。
酸素には、質量の異なる「同位体」がある。研究チームは生体内に存在する酸素同位体の比率が、体温と気温・水温の関係によって異なることに注目。水温と体温の差がほとんどない現在の魚の同位体の比率と首長竜、魚竜、海トカゲ竜の化石の歯に含まれるリン酸から取り出した同位体の比率を比べた。
米国、欧州、オーストラリアなど十数カ所で発掘された化石を分析した結果、これらの海生爬虫類は、体温が35~39度と高く保たれていたと推計された。現在のクジラに近い数値で、クジラのように水温と関係なく長い距離を機敏に動けたとみられる。中でも、首長竜と魚竜は、12度前後の冷たい海でも、体温を維持できたらしい。
元論文のタイトルは、”Regulation of Body Temperature by Some Mesozoic Marine Reptiles”です(論文要約をみる)。
酸素には質量18の安定同位体(18O)があり、大気中に約0.2%含まれます。18Oは、重く蒸発しにくいので、温度が高いと比率が増え、低いと減ります。これを利用して、同じ場所に住んでいた恐竜と魚の歯に含まれる18Oを測定した研究です。
首長竜(プレシオサウルス)と魚竜(イクチオサウルス)の歯の化石に含まれる18Oは、同じ場所から発掘された魚の歯の化石に含まれる18O量と異なっていました。これらの恐竜の体温は恒温性で、動き回っていたと考えられるそうです。一方、待ち伏せて捕食していたと思われるヘビ型のモササウルスでは、魚の組成に近く、ある程度環境によって体温変化があったそうです。
この記事を読むまで知らなかったのですが、動き回って捕食するマグロやカジキも恒温性で、クロマグロの体温は35度もあるそうです。体温の恒温性・変温性は、魚類、爬虫類、哺乳類などの区別ではなく、生活行動様式で決まるようです。
上から、プレシオサウルス(plesiosaurs)、イクチオサウルス(ichthyosaur)、モササウルス(mosasaurs)です。
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