後発薬市場の拡大が意味するもの

第一三共、4月に新会社で設立し国内で後発薬市場に参入
以下は、記事の抜粋です。


第一三共は2月26日、国が普及を推進し、今後、ニーズが一層高まることが予想される日本のジェネリック医薬品(後発薬)市場へ参入するため、4月1日付で「第一三共エスファ」を設立すると発表した。

第一三共グループは、2008年11月にインドの後発薬大手ランバクシー・ラボラトリーズをグループに加え、海外では、後発薬も含めたビジネス展開をすでに開始している。新たに設立される第一三共エスファは、ランバクシーの事業ノウハウやコスト競争力、内外の製薬会社とのネットワークを活かし、製品の拡充と安定供給を実現していくとしている。

新薬の特許期間終了後に発売される後発薬は、政府も医療費抑制のため、その普及促進をはかっているが、国内では、医師、薬剤師、患者の認識の問題や、自社の新薬販売減少を嫌っての製薬大手の市場不参入などで、海外に比べ普及が進んでいなかった。しかし、最近、富士フィルムや米ファイザーなどが、日本の後発薬市場への参入を決めており、今後、同様の動きが加速する可能性がでてきた。


米製薬大手メルク、日本のバイオ後発薬に参入

もう一つの後発薬関連のニュースです。以下は、記事の抜粋です。


米製薬大手のメルクは日本のバイオ後発医薬品市場に参入する。まず貧血治療薬の後発品について開発に着手、2012年以降に発売したい考えだ。遺伝子組み換えなどを使って開発するバイオ医薬品は今後、特許切れが増える見込み。後発薬市場は政府の普及促進策を受けて拡大しており、先端的なバイオ医薬品でも需要が伸びると判断した。

日本で事業を行うのはメルクの全額出資子会社である万有製薬。腎不全に伴う貧血の治療薬「エリスロポエチン」の後発品について、このほど国内で臨床試験(治験)を始めた。価格は新薬より2~3割下がるとみられ、医療機関に採用を働き掛ける。


後発医薬品(後発薬、ジェネリック薬)とは、特許期間(20~25年)が終了した後に、別メーカーが同じ有効成分を使って売り出す薬のことで、価格は新薬の2~7割です。

上の2つのニュースにあるように、後発薬をめぐる市場が活性化しています。朝日の記事では、以下のように、その原因を分析しています。

●国が医療費削減を目指して後発薬の普及策を強化(診療報酬改定など)。
●患者が低価格医薬品を希望するようになった。
●外国に比べると普及が遅れているので、市場拡大の余地が大きい。
●主力薬が特許切れを迎える。

この他、後発薬の品質向上なども指摘されています。しかし、製薬大手が後発品市場に続々参入してくる最大の理由は、「新薬の登場よりも、特許切れのペースが速い」状況の中で、「新薬を次々と開発することで儲ける」という製薬大手のビジネスモデルが崩れ始めたからだと思います。

ヒトの平均寿命が生物学的限界に近づきつつある今、医薬品業界は、良くいえば「成熟期」、悪くいえば「衰退期」に入った感があります。

既存の後発薬メーカーの株が値下がりしているようですが、限られたパイの取り合いは、これからもっともっと激しくなっていくと思われます。

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