生活習慣の改善・変更はGERD(逆流性食道症)の治療に有効か?

ヒトには食道と胃のさかい目のところに下部食道括約筋(Lower Esophageal Sphincter、LES)という筋肉が存在します。このLESの機能が障害された病気の代表的な疾患が逆流性食道炎です。

以下は、「生活習慣の改善・変更はGERDの治療に有効か?」という「逆流性食道症(GERD)診療ガイドライン2015」の項目からの抜粋です。


LES圧を低下させるものにタバコ、チョコレート、炭酸飲科、右側臥位がエビデンスレベルの高いものとしてあげられている。酸暴露時問を延長させるエビデンスレベルの高いものとしてタバコ、アルコール、チョコレート、脂肪食、臥位、右側臥位がある。一方、これらのなかで実際に症状を悪化させるのはタバコ、アルコール、臥位のみである。LES圧を低下させる生活習慣や酸曝露時問を延長させる生括習慣はあるもののそれらを変更Lたり、中止したりすることによって症状が改善するかが治療においては重要な点である。LES庄を上昇させるのは左側臥位のみ、酸暴露時問を滅少させるのは体重減少とべッドの頭側拳上のみがエビデンスとなっている。また、実際に症状を改善させる行為は体重滅少とべッ ドの頭側拳上のみである。生活習慣単独では十分な症状の改善は期待できないが、PPI治療を併用すると症状改善と同時にQOL改善をもたらすという新たなエビデンスが明らかとなっている。


この記述についてのステートメントは、「生活習慣の中には酸のGER(Gastroesophageal Reflux、胃から食道への逆流)を引き起こすものがありその変更や中止はPPI(プロトンポンプ阻害薬)療法下に行えば有効であり、生活指導を行うよう提案する。ただし、生活習慣の改善単独では症状改善につながるというエビデンスは少ない。」です。また、そのエビデンスレベルはA~D4段階の下から2つ目のC「質の低いエビデンス」です。

これらを総合すると、症状を悪化させるのは、タバコ、アルコール、横になること、の3つです。改善するのは、体重滅少とべッ ドの頭側拳上のみです。右側臥位(右を下にして横になる)はLESを低下させの左側臥位は上昇させるので、左を下にするよりもGERDには悪そうですが、エビデンスは無いようです。

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