豚由来の腎臓で健康に暮らす米国人女性
関連記事で紹介したブタの腎臓を移植した3例目の患者さんについての記事です。以下は、抜粋です。
遺伝子編集された豚からの腎臓移植を受けた米国人の女性が、新しい臓器とともに1カ月以上健康に暮らしていることが報告された。
この女性はアラバマ州在住のTowana Looneyさん、53歳。1999年、彼女は病気の母親のために、自分の腎臓の一つを提供した。彼女の移植治療を行ったニューヨーク大学(NYU)の医師によると、Looneyさんはその後の妊娠時に血圧が急に高くなり、残っていた腎臓も機能不全に陥ったという。
2016年後半に、Looneyさんは透析療法を受ける必要が生じた。しかし彼女の場合、免疫によってドナーの臓器に対する拒絶反応が強く現れる可能性が高いと予測されたために、より適した臓器が提供される機会を長く待たなければならなかった。
残された時間は少なくなっていった。なぜなら、透析療法開始後の8年間で、透析に利用可能な重要な血管が、徐々に失われていったからだ。最終的に米食品医薬品局(FDA)の「拡大アクセスプログラム」により、彼女に対する治療として、豚の腎臓を移植するという「異種移植」が許可された。FDAの拡大アクセスプログラムは、ほかに治療法がない重篤な患者に対して、いまだ実験的な段階にある治療を行おうとする際に、人道的な理由で特別にこれを許可するもの。
Looneyさんに移植された豚の腎臓には、ヒトへの移植に適したものにするために、10カ所の遺伝子編集が行われた。医師らによると、移植から1カ月が経過した現在、Looneyさんの健康状態は良好だという。
Looneyさんのケースは、遺伝子編集された豚の腎臓がヒトに移植された世界で3番目のケースであり、豚の臓器を移植され現在も生存している唯一のケースでもある。彼女はまた、10カ所の遺伝子編集が施された豚の腎臓を移植され、その臓器が人間の体内で正常に機能している唯一の人物でもある。
移植手術を指揮したNYUのRobert Montgomery氏は、「Looneyさんは、われわれが2021年に最初に異種移植の手術を行って以来、積み上げてきた進歩の集大成だ。彼女は腎不全に苦しむ人々にとって希望の光である。」と話している。
NYUのニュースリリースによると、現在、全米で約10万4,000人が臓器移植の待機リストに登録されており、そのうち9万400人以上は腎臓の移植を待っているという。多くの腎不全患者にとって、状況は明るいものとは言えない。現在、米国には80万8,000人以上の腎不全患者がいるが、2023年に新しい腎臓を移植されたのは、わずか2万7,000人だった。
AIによると、2023年11月末時点で、日本における腎臓移植の待機者数は約1万4,275人です。腎臓移植の数は、2021年で1,773例でした。腎臓移植の平均的な待機期間は約15年で、アメリカよりもヒトの腎移植の機会は少ないです。
遺伝子改変ブタは腎臓だけではなく、心臓などの他の臓器にも使われる可能性があります。ものすごい高額医療になりそうですが、進歩を注目しています。
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