認知症観の歴史的変遷

新しい認知症観と疫学
以下は、記事の抜粋です。


私の理解する歴史的変遷を簡単に述べよう。

(1)昔の人は認知症になる前に死んでしまったので、多くの人にとって認知症は興味の対象ではなかった。

(2)豊かな社会が到来し、認知症の人が増え始めた。人々はパニックになり、「痴呆」と呼び、酷い扱いを受けた。

(3)これに対して「認知症は病気である、本人の落ち度でなったわけじゃない、病院で優しく保護しよう」という医学モデルの啓蒙が行われた。病院や施設での「保護」もまた排除であった。

(4)認知症は病気であるならば、予防できるはずだ、根絶できるはずだという牧歌的な認知症観が日本でまったりと続いた。

(5)スコットランドで認知症の当事者が声を上げ、本人なしに決めないでほしい、という主張が徐々に広まり、認知症国家戦略が世界各地で策定された。

(6)日本でも多くの勇気ある当事者が声を上げた。彼らは一様に「自分は認知症と診断されたとき情報を集めたら、数年で何もわからなくなると書いてあって絶望した。しかしいろいろ工夫して楽しく生きているし、仲間と出会って、認知症と共に普通の生活を続けることもできるのだとわかった」と述べている。

(7)アルツハイマー型認知症の神経病理学の研究が粛々と進み、プレクリニカル期に介入することで、進行を大幅に遅らせる時代がもうすぐ来そうだ。


以上は、東京都健康長寿医療センターの岡村 毅氏の書かれた認知症の歴史的変遷です。「進行を大幅に遅らせる時代がもうすぐ来そうだ。」というのは希望的観測だとは思いますが、早くそうなって欲しいと思います。

 

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