抗うつ薬→攻撃性→暴力?: SSRIの副作用についての報道

抗うつ薬で攻撃性増、「使用の注意」改訂へ (読売)
抗うつ薬パキシルなど「攻撃性」注意喚起 厚労省審議会 (朝日)
「抗うつ薬で暴力」否定できず=使用上注意を改訂-厚労省 (時事通信)

「抗うつ薬『パキシル』などSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)の副作用が疑われる症例が相次いだ問題で、厚生労働省薬事・食品衛生審議会の部会は8日、服用により他人への攻撃性が増したり、激高したりする場合があることを添付文書に盛り込み、医師や患者に注意喚起することを決めた。 (朝日)」

どうして、これだけの内容が、上記のような誤解をうみやすいタイトルになるのでしょうか?

パキシルの添付文書には、躁転、自殺念慮、自殺企図、てんかん発作、散瞳、悪性症候群、皮膚及び粘膜出血(胃腸出血等)、眠気、自傷、気分変動、情動不安定、嘔気、傾眠、口渇、めまい、便秘、頭痛、食欲不振、不安、焦燥、興奮、錯乱、幻覚、反射亢進、ミオクロヌス、発汗、戦慄、頻脈、振戦、神経過敏、感情鈍麻、緊張亢進、錐体外路障害、知覚減退、離人症、躁病反応、あくび、激越、アカシジア、下痢、消化不良、心悸亢進、一過性の血圧上昇又は低下、頻脈、起立性低血圧、などの出現に注意するように書かれています。

ここに攻撃性が一つ加わるだけで、どうしてこんなにセンセーショナルに報道するのでしょう?薬物治療によってうつ症状が改善する時は、自殺の恐れが高まる時でもあることは良く知られています。自殺は、自己に対する攻撃ですので、それが稀に他者に向かうことは以前から想定されていたはずです。

良く効く薬には、必ず副作用があります。SSRIは、うつ病やパニック症候群などに良く効きます。良く効くということは、それだけヒトの情動に強い影響があり、上記のような好ましくない副作用も一定の確率で出現するということです。副作用は、「あってはならないこと」ではなく、「あるはずのことです」。このように、すべての良く効く薬物には、便益とリスクがあります。一部のリスクをことさら強調し、SSRIを投与された患者がすべて暴力をふるうかのような報道はやめて欲しい。

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