骨粗鬆症の治療薬、ビスホスホネート剤が乳がんリスクも減らす!?

Bone Drugs Taken by Some Women May Lower Breast Cancer Risk, Studies Say

以下は、記事の抜粋です。


何百万人もの健康な高齢女性が、骨粗鬆症を予防・治療するために飲んでいるビスホスホネート剤が、乳がんリスクも減らす可能性が2つの独立した調査から示唆された。12月10日にSan Antonio Breast Cancer Symposiumで発表された。

1つは、アメリカ政府主導のWomen’s Health Initiative (WHI)に参加した15万人以上の閉経後女性を調べた調査で、Fosamax (alendronate)というビスホスホネート剤を飲んでいる女性は、飲んでいない女性よりも侵襲性乳がんになる率が32%低かった。

この調査はランダム化されてはいないので、決定的ではないが、ビスホスホネート剤が有効である事を強く示唆していると考えられる。

もう1つは、イスラエルでの調査で、ビスホスホネート剤を1年以上飲んでいる女性は、飲んでいない女性よりも乳がんリスクが29%減少するという結果だ。そして、ビスホスホネートを服用しても発生するがんは、エストロゲン受容体を発現しているタイプ、すなわちtamoxifenが有効な治療しやすいがんが多かった。


ビスホスホネート剤は、乳がんなどが骨転移した場合に、がんの進行を抑制する効果があることは知られていましたが、がんの発生そのものを抑えることは知られていませんでした。本当に乳がんのリスクを減らすのであれば、素晴らしいと思います。

しかし、エストロゲンが低い人は骨粗鬆症になりやすく、乳がんになりにくいことがわかっています。つまり、エストロゲンが交絡因子である可能性があります。これだと、エストロゲンが低い人がビスホスホネート剤を飲む可能性が高いだけで、ビスホスホネート剤に乳がん予防効果がない可能性もあります。

がん抑制効果の作用メカニズムを考えてみました。ビスホスホネート剤にはファルネシル2リン酸(FPP)合成酵素阻害作用があるので、ビスホスホネートを飲むと、がん遺伝子Rasなどの低分子量GTP結合タンパク質の活性に必要なプレニル化が抑制される可能性が考えられます。

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