安倍晋三首相「採用ルール守ってほしい」 就活ルールの形骸化に苦言
以下は、記事全文です。
安倍晋三首相は9月3日夜、東京都立川市での集会で、企業の学生の採用時期に関して「早くなると、学生の本分である勉強より就職活動が早くなるのでおかしい。採用は6月開始というルールを作ったところだから、ルールをしっかり守ってもらいたい」と述べた。
これほど社会の現実をわかっていない人がリーダーを務める国に住めて本当に幸です。
学部でも、大学院でも企業への就職を希望している学生にとって、1に就活、2に就活、3、4がなくて、5も就活です。大学での勉強は「xx大学卒業」という肩書を得るためのもので、この肩書を利用した就職こそが一生を左右するからです。
学部卒で就職する学生の場合は、大学3年生の3月に説明会解禁、大学4年生の6月に採用面接など選考解禁です。理系の場合は、大学院で修士課程まで修了する学生が多く、大学院1年の3月に説明会解禁、大学院2年の6月に採用面接など選考解禁です(サイトをみる)。
修士課程学生の指導の経験がありますが、2年生の面接選考解禁の後は、就職が決まるまで、ほとんどの学生にとって勉強(講義や実習)よりも就活が優先になります。しかも、その優先の仕方は極端で、研究はほとんど止まってしまいます。これを認めない教員はアカハラ扱いされます。つまり、修士課程で実際に勉強するのは2年間の中で1年2カ月だけなのです。
経団連の中西宏明会長は9月3日に開いた記者会見で、就職活動の時期などを定めた「就活ルール」の廃止に言及しました。上の記事の首相の発言はこれに対応するものです。
中西氏は、国境を越えた人材の獲得競争が広がり、経団連が個別企業の採用活動をしばるのは現実に合わないとの意識があり、「単一文化が弱点になってきている」とも述べたそうです。経団連がルールをなくせば自由な採用活動が一段と広がり、新卒一括採用を前提とする日本独特の雇用慣行の転機となる可能性があります。私はこちらを強く支持します。
この問題についての矢口新さんによるおもしろい記事があったので以下に紹介します。
なぜ「就活ルール」に政府が口を出すのか。経営無能がしゃしゃり出ると日本は滅ぶ
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