筋トレが睡眠の質を高める〜世界初のエビデンスが明らかに
以下は、「リハビリmemo」というブログを書いておられる方が、最近発表されたKovacevic氏の論文を中心に解説されている記事からの抜粋ですが、かなり誤解があります。
2017年7月、世界で初めてレジスタンストレーニング(筋トレ)と睡眠についてのシステマティックレビューが雑誌Sleep Medical Reviewに掲載されたのです(システマティックレビューとは、質の高い研究データを集め分析した、もっともエビデンスレベルの高い報告)。著者であるマックマスター大学のKovacevicらはレビューでこう結論づけています。「レジスタンストレーニングは、睡眠の質を大きく改善させる」
Kovacevicらは、レジスタンストレーニングの総負荷量、頻度が睡眠に与える影響についても統計的な解析を行いました。その結果、睡眠の質はトレーニングの「量」に依存することがわかったのです。 総負荷量は運動強度に運動回数を乗じた値です。睡眠の質は、少ない総負荷量よりも高い総負荷量で改善し、少ない頻度(週1〜2回)よりも多い頻度(週3回)で改善することが示されました。トレーニングの総負荷量、多い頻度といった因子によって睡眠の質は高まるのです。
元論文のタイトルは、”The effect of resistance exercise on sleep: A systematic review of randomized controlled trials”です(フルテキストが公開されています。論文をみる)。
以下は、論文のPractice pointsです。それぞれに私が訳をつけました。
1) Chronic resistance exercise may improve subjective reports of sleep quantity and quality, with the greatest effects on sleep quality. However, studies were few and heterogeneous with respect to study population, intervention characteristics, and outcome measures. Additionally, no studies of chronic resistance exercise used objective measures of sleep.
継続的な筋トレは主観的な睡眠の量と質を改善する。その効果は睡眠の質で最大である。しかし、対象とした研究は少なく、その方法もバラつきが多い。さらに、継続的な筋トレと睡眠について、客観的な指標を用いて調べた研究はない。
2) Acute resistance exercise and combined chronic aerobic and resistance exercise (compared to aerobic exercise alone) may still be beneficial, but existing research is limited.
一時的(急)な筋トレやエアロビクスと筋トレの組合わせ(エアロビクス単独との比較)については効果があるかもしれないが、現存の研究は限られていて(何とも言えない)。
3) Resistance exercise improves muscle strength and neuropsychological outcomes such as anxiety and depression, which are often comorbid with sleep disorders.
筋トレは筋力を改善するとともに、睡眠障害にしばしば合併する不安や抑うつなどの神経性神学的症状を改善する。
4) A higher frequency, intensity, and duration of exercise seems to confer greatest benefit for sleep, however, studies directly examining dose–response effects are limited.
筋トレの頻度、負荷量、運動時間などを増やすと睡眠に最大のベネフィット(プラス、恩恵)があるように思われるが、実際にこれらの量と効果の関係を調べた研究は限られている。
5) Resistance exercise may be a viable treatment option for the long-term management of impaired sleep.
筋トレは、睡眠障害を長期管理するための実行可能な治療オプションの1つかもしれない。
以上で、上の記事で私が太字にした部分があやしいことがわかると思います。
Kovacevic氏の論文は、13報のこれまでに発表された論文を調べた結果、筋トレについて、メカニズムはよくわからないし、エアロビクスとの相乗効果や、一時的な筋トレについてもよくわからないけれども、継続的(”chronic”の訳です)な筋トレは、睡眠の質の改善に効果があるのことが示唆されたと結論しています。それ以上でも以下でもありません。
コメント
「継続的(”chronic”の訳です)な筋トレは、
睡眠の質の改善に効果があることが示唆されたと結論」して良いかどうかも不明でしょう。
長期(=“chronic”)にわたって筋トレをしようという人は、
「慢性(=“chronic”)スポ根」タイプですので、
忍の一字で、
http://bit.ly/22uORKo
「どんなときにも
解離しないように
努力」
すなわち、
睡眠の質が落ちたら、断眠療法で治してしまうし、
体調不良は断食
http://bit.ly/2hQzZCq
で治してしまうから、
PTSD予防&克服をしやすいのです。
そういうわけで、
「継続的(”chronic”の訳です)な筋トレ」そのものに睡眠の質を向上させる何かがあるのではなくて、「継続的(”chronic”の訳です)な筋トレ」をするような人は、PTSDに対処しやすいので結果として(心労にやられにくくなり)睡眠の質が向上すると解釈したほうが合理性があると私は考えます。