「スギ花粉症に対する舌下免疫療法」7~8割が症状軽減! だが、、、

8割が花粉症の症状軽減 「舌下免疫療法」を受けた人の声
以下は、記事の抜粋です。


舌下免疫療法とは、アレルゲンであるスギ花粉のエキスを舌下にたらして、からだに少しずつ注入することで、スギ花粉にからだを慣らしていく治療法だ。花粉症の唯一の根本的な治療法で、「鼻アレルギー診療ガイドライン(16年版)」では、治療選択肢として記載された。

1日1回投与で、治療開始後1週間は薄めのエキスを、2週目は1週目の10倍の濃度のものを、それぞれ1週間かけて0.2~1ミリリットルと徐々に増やしていく。3週目以降は2週目に使った濃度のものを1ミリリットル投与する。投与後2分間保持して飲み込む。徐々にからだを慣らす治療法のため即効性はなく、毎日投与し続ける必要がある。

「通常は花粉の季節を避けた6~12月に開始します。次のシーズンでは顕著な効果が望めないこともありますが、2シーズン目には7~8割の人に症状の軽減が期待できます」と担当医師は話す。

14年10月に舌下免疫療法を開始した患者の一人は、15年の春にはあまり効果がなかったためアレグラを併用したが、16年の春には症状が大きく改善されて、花粉シーズン中に点鼻薬を1本使っただけで内服薬は必要なかった。現在でも投与を続け、今年も症状は出ていないという。

現在のエキスは冷蔵保存が必要で、かつ12歳以上でなければ受けられないが、年内に保険承認が予定されている錠剤タイプのものは常温保存が可能で、出張や旅行にも簡便に持ち運びができるようになるという。さらに、5歳以上から受けられるようになる見込みだ。

舌下免疫療法は、海外では約30年前から実施されているが、日本では保険で受けられるようになってからまだ時間が経っていない。効果やリスクについては、臨床データを集めてさらに詳しく解析するということがこれからの課題だ。


私の知人も、毎年スギ花粉で悩まされ今の季節には抗ヒスタミン薬なしでは過ごせなかったのが、昨年の6月から舌下免疫療法を始めてみたところ今年はスギ花粉の最盛期になっても抗ヒスタミン薬なしで行けているそうです。私だけではなく、他の医療関係者の経験でも評価が高く、スギ花粉症でお悩みの患者さんにはお勧めの治療だと思います(サイトをみる)。

しかし、記事では良い事ばかりが強調されすぎていると思うので、以下に気を付けるべき問題点を箇条書きにしておきます。

1.スギ花粉症に対する舌下免疫療法は、今のようなスギ花粉が飛ぶ季節には始められません。6月から12月までの開始です。

2.治療を始めるには採血などを行って、スギの花粉症である(スギ花粉に対する抗体価が高い)ことが確定していることが必要です。

3.治療には時間がかかります。最低2年間,毎日自分で舌下に滴下し続ける必要があります。中断したらはじめからやり直しです。ただ、記事に書かれた患者さんのように1年以内に効果が認められる患者さんもかなりあるようです。

4.舌下免疫療法は、今のところスギ花粉とダニだけしか適応がありません。また、耳鼻科の友人の話ではダニの場合はスギ花粉ほどうまく行っていないそうです。また、スギ花粉のばあいでも2割ぐらいの患者さんにはまったく効果がないようです。

5.例は極めて少ないようですが、治療開始直後、特に初回にはアナフィラキシー(特に口腔内のアレルギー症状)などのアレルギー反応による重篤な副作用が出る可能性があるので、承諾書を取り交わし、実際にシダトレンを目の前で使って頂き、30分間の経過観察が必要です。ということで、救急対応ができる医療施設で治療を開始する方が安全だと思います。

以上のように、スギ花粉症に対する舌下免疫療法は簡単な治療ではありませんが、私はとても良い治療だと考えています。花粉症で悩んでいるヒトはご一考ください(サイトをみる)。

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