新しい便DNA検査で大腸がんを90%以上検出
以下は、記事の抜粋です。
自宅で実施できる便検査で、90%を超える精度で大腸がんをスクリーニングできるという報告が、”New England Journal of Medicine”オンライン版に3月19日掲載された。著者の1人であるSteven Itzkowitz 氏は、「便を用いた非侵襲的なスクリーニングで、これほどの結果はこれまでに例がない」と述べている。
FIT(免疫化学的便潜血検査)などの一般的な便検査は便に含まれる血液の検出に基づくものだが、Cologuardと呼ばれるこの新しい検査は、血液に加え、腫瘍に由来する異常なDNAを検査するもので、がんも含め一部の病変は出血しないことから、利点があるという。
今回の研究は、米国およびカナダの90カ所の施設で50歳を超える約1万人の男女を対象に、大腸がんおよび前がん性ポリープのスクリーニングを実施した。各被験者に、標準の大腸内視鏡検査、市販の便検査(FIT)、Cologuard(自宅で便を採取し、検査施設に郵送する)の3つの方法でスクリーニングを実施した。
その結果、内視鏡検査で65人に大腸がん、757人に前がん病変が見つかった。Cologuardでは、65人のうち60人のがんを正確に検出することができたのに対し、FITでは48人だった(92%対74%)。Cologuardによる前がん病変の検出率は約42%だったが、FIT(約24%)よりは上回っていた。しかし、Cologuardは偽陽性の確率が大腸内視鏡およびFITのいずれに比べても高かった。
元論文のタイトルは、”Multitarget Stool DNA Testing for Colorectal-Cancer Screening”です(論文をみる)。
記事にある「血液に加え、腫瘍に由来する異常なDNAを検査するもの」の内容は、BMP3遺伝子とNDRG4遺伝子のプロモーター領域の異常メチル化、KRAS変異、コントロールとしてのアクチン、血液の指標のヘモグロビン量です。これらを総合して数値化したものを指標としています。
これらの検査は、どれも新しいものではなく、一つ一つの結果だけでは大腸がんの予想には不十分だとされたものばかりです。一つ一つでは不十分だけれども、5つ合わせればよい検査になったという報告です。
感度が高いことと特異性に乏しいことをどう評価するかの問題ですが、私には潜血反応とたいして変わらないように思えます。
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