新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)病原体検査の指針
検査の指針の最新版です。以下はごく一部の抜粋です。
2)抗原検査
SARS-CoV-2の構成成分である蛋白質を、ウイルスに特異的な抗体を用いて検出する検査法である。PCR法と同様に陽性の場合はウイルスが検体中に存在することを示す。抗原検査には、定性検査と定量検査がある。抗原定性検査は、ウイルスの抗原を検知し、診断に導く検査であり、PCR 検査とともに有症状者の確定診断として用いることができ(厚生労働省.SARS-CoV-2 抗原検出用キットの活用に関するガイドライン[令和 2 年 5 月 13 日])、また、症状発症から 2~9 日目の症例では陰性の確定診断として用いることができる(同 令和 2 年 6 月16日改訂)。定性検査は簡便・迅速なポイントオブケア・デバイスであり、外来やベッ
ドサイドにおける有症状者のスクリーニング等に有用である。一方、抗原定量検査は、ウイルス抗原の量を測定することができ、検査に抗原と抗体反応のウォッシュ過程があることから、特異度も高く、感度も LAMP 法等の簡易な遺伝子検査方法と同レベルである。
表1 各種検査法の実施時間
検査法 | 実施時間 |
リアルタイムPCR | 2~4時間 |
定性PCR+シークエンス確認 | 7~9時間 |
LAMP法 | 1時間 |
抗原定量 | 30分 |
抗原定性 | 40分 |
鼻腔ぬぐい液
検体採取時には、鼻孔から2 cm程度スワブを挿入し、挿入後スワブを5回程度回転させ、十分湿らせる。医療従事者の管理下であれば、被検者自身が検体を採取でき、医療者が採取する鼻咽頭ぬぐい液と同様に有用との報告がある。一方、検出感度は鼻咽頭ぬぐい液と比較するとやや低いとの報告があり、引き続き検討が必要であるものの、実用性と医療者の感染予防の面から有用な検体である。
唾液
医療従事者の管理下であれば、被検者自身が採取でき、採取時に飛沫を発することが少ない点で周囲への感染拡散のリスクが低い現実的な検体と考えられる。検出感度は鼻咽頭ぬぐい液と同程度と考えられ、採取手技に左右されない利点もあり、実用的な検体である。唾液の採取は、被検者自身が自然に徐々に流出する唾液を滅菌チューブに 1~2 mL程度溜める。脱水等で唾液が出ない被検者は、検出感度が低下すると予想される。飲食や歯磨き、うがい直後の唾液採取はウイルスの検出に影響を与える可能性があり、避けるべきである。明確な基準はないが、目安として、飲食等の後、歯磨きを行った後、最低10分以上、できれば30分ほど空けることが望ましい。被検者自身による唾液採取時に採取容器の外側が汚染する可能性があるため、容器外側の適切な消毒等の工夫が求められる。
上記のように、唾液や鼻腔ぬぐい液などの最近になって用いられるようになったサンプルについてもきちんと解説されています。あとは、これらの検査体制を全国で整備することです。
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