以下は、記事の抜粋です。
年齢を重ねた頭脳は、認知制御はゆるくなるが、反面、創造性が高く、常識にとらわれない問題解決を得意とする可能性があるという研究結果が発表された。
若い頭脳は厳格な認知制御に長けている。言い換えれば、気を散らす要因を遮断しながら、目的に基づいた特定の課題にひたすら集中するために、脳内の各処理を調整することに秀でている。加齢とともに、こうした認知制御は少しずつゆるくなる。脳が処理を行っている最中に、注意を乱す事柄や無関係な情報が頭のなかに入り込んでくるのを許すようになる。
研究チームは、こうした「処理の弛緩」によって、学習能力や問題解決能力が高められる場合もあると述べている。 たとえば、これまでに行われてきた研究から、高齢者たちは、創造性を試すための課題「遠隔性連想検査(RAT)」で、高齢者たちが若年層を打ち負かしたという研究結果もある。
認知制御の「ゆるさ」が創造性を高めるという例は、高齢者以外にも存在する。たとえば、幼児は、巨大なデータセットからパターンを見つけることがとりわけ得意だ。また、ある研究では、認知制御の妨げとなる脳障害を抱えた患者たちは、いわゆる「洞察問題」を解く能力で、健康な成人を上回る成績を収めることができた。
以上の研究結果を統合して研究チームは、高齢者の頭脳は、関係のある情報と無関係な情報の両方を無意識のうちに新たな文脈に持ち込むことによって、より優れた決断を行うより賢明な頭脳になりうると結論づけている。
元総説(review)のタイトルは、”Cognitive Control As a Double-Edged Sword”(認知機能は諸刃の剣である)です(総説をみる)。
研究チームは、年齢を重ねた頭脳がもつこうした特質は、より賢明な決断へとつながりうるため、単に回転が速いだけの頭脳よりも現実の世界では有利かもしれないと述べているそうです。これが本当だったら嬉しいですが、認知機能が落ちすぎてもダメだと思います。
こういう論文をみて、老害をばら撒いている「お偉い」先生方が元気になり過ぎないことを祈ります。
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