フルオロキノロン系抗菌薬使用で、大動脈瘤/解離のリスクが66%増加

経口キノロンが大動脈瘤リスク増と関連
以下は、記事の抜粋です。


カロリンスカ研究所のBjorn Pasternak氏らは、経口フルオロキノロン系抗菌薬の使用が大動脈瘤のリスク増加と関連していることを報告した。フルオロキノロンには、血管壁の細胞外マトリックスの完全性を損なう可能性のある非抗菌的特性があり、最近の研究でフルオロキノロン系抗菌薬が大動脈瘤のリスクを増加させる懸念が高まっていた。

研究グループは、2006年7月~2013年12月のスウェーデンの全国患者登録、処方薬登録、統計局ならびに死因登録のデータを用い、コホート研究を実施した。対象は、フルオロキノロン系抗菌薬使用例36万88件(78%はシプロフロキサシン)と、傾向スコアでマッチングした対照のアモキシシリン使用例36万88件であった。

主要評価項目は、治療開始から60日以内の大動脈瘤/解離の初回診断(大動脈瘤/解離による病院/救急部への入院、または大動脈瘤/解離による死亡)とした。

治療開始後60日間の大動脈瘤/解離の発生頻度は、フルオロキノロン系抗菌薬使用群1.2例/1,000人年、アモキシシリン使用群0.7例/1,000人年であった。両群の大動脈瘤/解離発生推定絶対差は、60日までの治療100万人当たり82例(95%信頼区間[CI]:15~181)で、フルオロキノロン系抗菌薬使用が大動脈瘤/解離のリスク増加と関連していることが認められた(ハザード比:1.66、95%CI:1.12~2.46)。


元論文のタイトルは、”Fluoroquinolone use and risk of aortic aneurysm and dissection: nationwide cohort study”です(論文をみる)。

フルオロキノロン系抗菌薬は、日本ではニューキノロン系とよばれることが多いです。経口投与が可能で比較的副作用が少ないということで頻用されていますが、米食品医薬品局(FDA)は2016年7月、アキレス腱の炎症や断裂、重症筋無力症の増悪、不可逆性の末梢神経障害などの不可逆的かつ永続的な機能障害が多発するリスクがあり、重篤性の高くない感染症に使用しないことなどの警告を強化するとの安全性情報を発表していました。

フルオロキノロン系抗菌薬の中、78%はシプロフロキサシンということです。シプロフロキサシンはバイエルが開発しシプロキサン®という商品名で日本でも市販されています。その他、オフロキサシン(タリビット®)、レボフロキサシン(クラビット®)、ノルフロキサシン(ノフロ®など)、ロメフロキサシン(ロメフロン®)、モキシフロキサシン(ベガモックス®)、プルリフロキサシン(スオード®)、ガチフロキサシン(ガチフロ®)、パズフロキサシン(パシル®)、ガレノキサシン(ジェニナック®)、シタフロキサシン(グレースビット®)、トスフロキサシン(オゼックス®)、ナジフロキサシン(アクアチム®)など、非常の多くの種類のフロオロキノロン系抗菌薬が日本で市販され、使われています。

メカニズムは不明ですが、大動脈瘤/解離は死に直結する恐ろしい病気です。重篤性の高くない感染症に使うのはやめましょう。

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